負傷によって欠場中のマルク・マルケス(ドゥカティ)の代役としてポルトガルGPでMotoGPデビューを果たしたニッコロ・ブレガ。スプリントレースは転倒リタイアに終わってしまったが、これには普段参戦しているWSBKとのブレーキングアプローチの違いが関係していたようだ。
ブレガは初日からMotoGPのレギュラーライダーを一部上回る走りを見せるなど、初参戦にもかかわらず好調だった。
しかし18番手からスタートしたスプリントでは、序盤4周目で転倒。リタイアという悔しい結果に終わった。
「マシンはしばらく前から、フロントがロックしそうだというサインを出していた」とブレガは語る。
ブレガはミシュランのタイヤを使っているMotoGPマシンと、ピレリのタイヤを使っているWSBKマシンでは、ブレーキングアプローチが違うと語る。そして、WSBKのクセが出てしまったことが、転倒につながったと彼は説明した。
「残念ながら、ブレーキング自体を完全に再調整する必要がある。ピレリタイヤの場合、初期のブレーキングで積極的にかけないと止まらない。でもミシュランだと、それをやるとすぐにロックしてしまう。今日はハードのフロントタイヤを初めて使ったから、最初の2周は慎重に走って、しっかり温めようとしたんだ」
「それからロレンソ・サヴァドーリ(アプリリア)を抜いて、プッシュし始めた。フランコ・モルビデリ(VR46)も捕まえられそうだったけど、少し攻めすぎてしまって、スーパーバイクと同じようにブレーキをかけたせいでフロントをロックさせてしまった。これまでの感覚を頭から消そうとしたけれど、スーパーバイクのピレリとは、ブレーキングの仕方がまるで逆なんだ。注意しないといけない」
「ターン1やターン5のようなハードブレーキングポイントでは、前を走るマシンが多いとスリップストリームの影響を強く受けるから、気をつける必要がある。ちょっとでもブレーキが遅れると、あっという間にぶつかってしまう。最初の2周はそういった点やハードタイヤだったこともあって慎重に走ったけど、結局やってしまった(笑)」
「今日は、すべてをうまくまとめきれなかっただけだと思う。データを見ても、実際そこまで悪くはなかった。まだ経験からくる慣れが足りないんだ。予選Q1でもいいラップを走っていたけれど、最終コーナーでライドハイトデバイスでミスしてしまって、そこで0.6秒も失ってしまった。あれがなければ13番手か14番手には入れていたはずだ。でも怒ってはいない。今の段階では当然のことだと思う」
そして3日目の決勝レースに向けては、目標を設定せずに、理想のライディングに近づけていきたいと語った。
「目標は立てたくない。今はただ、一周ごとにマシンを理解して、自分の思い通りに走れるように近づいていくことが大事だ。今はまだマシンに“乗せられている”状態で、思うように攻めきれない。まだ消化すべきことがたくさんあるからね」

