ナイツの塙宣之には、イジメを笑いに変えた経験がある。小学4年生の頃、人前で脱糞してしまい、いじめられていたという。
「毎日、学校に行くと『ウンチ』ってイジられるんで、学校に行きたくなくて」
と、当時を思い出す。
家で兄(はなわ)に相談するとなんと、
「マジで? 気持ち悪ぃ」
兄からもいじめられるようになったのである。
追い詰められた塙は、ザ・ドリフターズの番組で加トちゃん、志村けんが「ウンコチンチン」とやってるのを見て、学校で勇気を出してやってみた。
「めちゃくちゃウケて。それからイジメがなくなり、逆に『塙は学校でいちばん面白いヤツだ』となったんですよ。だから笑いっていうのはマイナスをプラスにできるということを、身をもってそこでわかって。その時に『お笑い芸人になろう』って決めたんです。小学校4年生の時に」
今まさに「お笑いを学校の授業に取り入れたい」と真剣に語る塙の言葉である。
千鳥の大悟が芸人となったきっかけは、成功体験からではなかった。岡山県の高校時代、同級生のノブとともに文化祭の司会を担当した。会場を盛り上げようと挑んだが、結果はまさかの大スベリ。それが大悟の運命を変えた。
ノブはその時のことを、
「もうお笑いはやめようと思った」
と語るが、大悟は違った。
「最後の舞台がスベッたまま終わるのが嫌だった」
かくして芸人になる決意を固めたというのだ。同じ出来事を「挫折」と「再起」として受け止めた2人のバランス感覚が、今でもトークに生きているのだ。
有吉弘行とっては、小学校時代の「恋と嫉妬」が笑いの原点になっている。有吉は言う。
「小3の時、全然かっこよくないのに、面白いってだけでモテる子がいた」
この出来事が有吉の人生を決定づけた。
「俺も面白くなりたい」と思ったのが、お笑いを目指す最初のきっかけだったという。
18歳でオール巨人に弟子入りし、本格的に芸人の道へと進んだ。
「全ては小3の教室から始まった」
こう本人がコトの経緯を認めるように、憧れから始まった芸道だが、適性があったのだろう。大きく花開いた。恋と嫉妬が生んだ「笑いの衝動」こそ、有吉らしい皮肉とユーモアの原点だ。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。

