現在、高知・安芸で秋季キャンプ中の阪神タイガース。藤川球児監督はシーズン中、個別の選手名を挙げて話すことはほとんどなかったが、オフは方針を変えたようで、個々の選手の評価についてよく語っている。
例えば育成の嶋村麟士朗捕手については、
「キャッチャーとしての能力は、支配下選手と比べても上回る」
あるいは高卒2年目の百崎蒼生内野手を、
「コンタクト率が非常に高い。飛距離も伸びてきてますしね」
同じく高卒2年目の山田脩也内野手には、
「体がどっしりとしてきましたね。バッティングの飛距離が伸びてきた」
そんな中、阪神ファンをざわつかせたのが前川右京外野手に言及した内容だ。今季の前川はレギュラー定着が期待されたが、69試合出場で打率2割4分6厘、1本塁打、15打点と振るわず。来季へ向けて、
「今年やったことはやめて、昨年と同じようなバットの軌道に戻したい」
以前の打撃フォームに戻して勝負すると意気込んでいる。
11月8日に秋季キャンプに合流した前川は、フリー打撃で場外へ2連発。報道陣に対応した藤川監督は、10月に元監督・金本知憲氏に連絡を入れたと明かし、
「『前川をまた春に見ていただけませんか』と言ったら『前川はすごく難しい』とおっしゃった。『特徴がある選手だから指導が難しい』と。やっぱり分かる人は分かるんだなと。打撃部門のコーチたちともう一度、やり直すしかない」
ここで脳裏をよぎるのは2016年のドラフト1位、高山俊だ。入団していきなり外野のレギュラーとなり、新人王に輝いたが、その後は不振が続く。2023年に戦力外通告を受けて退団した。
不振に陥ったのは、本来は中距離打者の高山に、当時の金本監督が本塁打増を求めたことが原因、という説がある。
「ホームラン打者ではない前川が仮に金本氏の指導を受けるとなると、かつての高山のケースが重なってくるのだと…」(球界関係者)
今後、金本氏の指導を受けるかどうかは不明だが、今年のドラフトで入団してくる1位・立石正広内野手(創価大)、2位・谷端将伍内野手(日本大)、3位・岡城快生外野手(筑波大)と前川は同い年で、ますます競争は激しくなる。2027年からはDH制が採用されることも含めて、前川のこれからが大いに気になるのである。
(鈴木十朗)

