10―41。ラグビー日本代表は、現地時間11月8日にアイルランド代表と対戦し、敗れた。世界ランクで10上回る3位の相手に前半は10―17と迫ったが、徐々に突き放された。
向こうは不振気味だったラインアウトを途中から改善。何よりこちらは、ハーフタイム前後の数的優位の時間に得点機を逃し、かつ、中盤でのペナルティーをきっかけに波状攻撃を受けて流れを失った。
約9年ぶりに復帰して2年目のエディー・ジョーンズヘッドコーチは「冷静さに欠けた。細部、シンプルな点を修正しなければ」と潔く認めたが、圧力下での「細部、シンプルな点」を改善できれば様相を変えられそうだった。
進歩に不可欠なひとりは齋藤直人。攻めの起点のスクラムハーフを務める28歳で、若返りを図る現代表にあっては希少なワールドカップ経験者だ。
フランスのトゥールーズに在籍し、代表戦期間中も国内リーグのトップ14などに参戦。そのためナショナルチームへの参加回数はやや限られるものの、不在時に戦術がアップデートされるたびにコーチ陣から連絡を受け取る。
プライベートでも仲がいい同じ位置の藤原忍、司令塔で副将の李承信とも、オンラインでのやりとりの流れでジャパンの進む道について話し合うことが多いという。
今回、欧州遠征中のグループには11月2日以降に合流。件のアイルランド代表戦で先発するのに先立ち、こう話していた。
「(トゥールーズとジャパンでは)使っているコール(動きをあらわす言葉)も違う。練習でも、普段(トゥールーズで)使っているものが(口から)出そうになる。ここは、意識してやらないと。(チーム戦術の)大枠はわかっていても、全部が全部わかるわけじゃない。より細かいところは、自分で詰めないと。理解の部分で皆より遅れているのは明らかなので、オフ・ザ・フィールドで(復習や確認を)責任を持ってやりたいです」
英語を母国語としない異国で暮らし、世界トップ級のプロリーグで揉まれている。現地での強度に苦労しながら「慣れ」てきている。
移籍2年目とあり、「1年目に感じていた(新しい日常などへの)ストレスは減って、パフォーマンス的にもまぁまぁ…納得いく部分も」。もともと自己評価の高くない人がここまで手応えを掴んだうえで代表戦に出たのだから、ゲーム当日、自ずとフィールドで違いを示した。
圧のかかった地面の上から球を取り出すや、受け手の手元へ滑らかにパス。すぐ次の接点へ移って同じ作業を積み上げるかと思えば、一転、仕掛けて目先を変え、ラックの周りに短く繋いだ。
足技でも光った。スクラムハーフのキックが重視されるフランスにいたのが幸いし、自陣からエリアを挽回したり、中盤からチャンスを拡げたりするための鋭い弾道を繰り出した。
攻めるか、蹴るかのバランスについては、7月にウェールズ代表に惜敗した際に思うことがあった。
用意したプランに沿って高い弾道で混とん状態を作り出そうとするも、かえって向こうに攻撃権を渡すはめになっていた。
経験を養分に最適解を探る。
「(ボール保持か、陣地獲得か)どっちに偏ってもだめ。僕自身の準備もありますが、チームとして9、10、15番(スクラムハーフ、スタンドオフ、フルバック)がどれだけ共通認識を持って『ここは攻める、ここは蹴る』(の詳細)をどれだけ詰められるか。また、そうしたとしても試合中には状況が変わるので、その時々で対応しないと」
今度の一戦でもまた、肥やしを得ただろう。
随所によさを示しながらも、軽微なエラーの積み重ねで難敵を打ち崩せなかった。その体験を、翌週以降の準備に反映させる。
15日にはカーディフで、ウェールズ代表へのリベンジを目論む。
文●向風見也(ラグビーライター)
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