成田ゆめ牧場での“応援の一日”

千葉県成田市の「成田ゆめ牧場」を舞台に、11月16日(日)、「パラ旅DAY ~成田ゆめ牧場11月編~」開催予定です。
参加するのは、障がいのある方、学生ボランティア、ヘルパー、福祉関係者など約300名。広大な牧場の自然の中で、音楽や動物とのふれあい、アクティビティを通して、一日を共に過ごします。

この日のプログラムには、「誰かを助ける」ための特別な仕組みはありません。代わりに、誰もが自然に楽しめるよう工夫された“共創体験”が用意されています。たとえば、音楽プロデューサーの声松優一氏やバイオリニスト橘麻衣氏による生演奏では、観客と出演者の垣根がなく、全員が一緒に歌い踊るステージが展開されます。成田国際高校のダンス部や、ダウン症のある子どもと家族の会「ジュピター」による手話ダンスも登場し、音楽を通じて“応援の輪”が広がっていきます。
また、牧場内では、動物とのふれあい体験や乳搾り、芝すべり、アーチェリーなど、多彩なアクティビティが行われます。参加者はグループごとに「何をやりたいか」を自分たちで話し合い、自由に行動します。そこでは、障がいの有無に関係なく、「できることを一緒に楽しむ」姿が自然に生まれます。

昼食には、全員が同じテーブルを囲んで食べられる「ユニバーサルお昼ごはん」が提供されます。重度の障がいがある方でも楽しめるよう、ペースト食の工夫もされており、誰もが“同じ食卓を囲む時間”を共有できます。

そして、1日の締めくくりには、千葉県の人気キャラクター・うなりくんやちーばくんも登場。笑顔と拍手に包まれながら、旅の思い出を分かち合うクロージングセレモニーが行われます。
この日の体験は、参加者にとって特別な一日であると同時に、観光地にとっても大切な学びの時間になります。どんな工夫があれば障がいのある方が安心して楽しめるか――その“実体験”が積み重なることで、地域全体が少しずつ変わっていくのです。
「どこへ行くか」よりも「誰と行くか」。
その言葉の意味を、参加する全ての人が肌で感じる一日となるでしょう。
未来へ続く“応援の輪”

パラ旅応援団の活動は、一度きりのイベントで終わるものではありません。
成田ゆめ牧場で得られた体験や気づきは、参加者だけでなく、観光地や地域社会にとっても貴重な財産となります。現場で得た学びをもとに、次の旅先でより良い環境をつくっていく――その積み重ねが、ユニバーサルツーリズムの実現へと近づけていきます。
今後は千葉県内にとどまらず、全国の観光地や教育機関、企業とも連携しながら、定期的な開催を目指しているそうです。障がいのある方が“友だちと旅に出かける”ことを、特別な出来事ではなく「当たり前の選択肢」にしていく。そのために、若者の発想と地域の力を結びながら、共に挑戦を続けています。
この取り組みの中心にあるのは、やはり人のつながりです。
誰かを思いやる気持ち、手を差し伸べる勇気、そして共に笑い合う時間。そうした一つひとつの瞬間が、社会を少しずつやさしく変えていきます。
旅を通して“支援”が“応援”へと変わる――。
その小さな変化の積み重ねが、誰もが安心して出かけられる未来をつくっていくのかもしれません。
パラ旅応援団が描くのは、誰かのための旅ではなく、みんなで笑い合う旅。
その輪はこれからも広がり、やがて社会の新しい風景をつくっていくでしょう。
NPO法人おりがみ 概要
ボランティアを通じて、あなたの普段と違った「もうひとつの役割」を、一緒に生み出すチーム。
それがNPO法人おりがみです。
あらゆる人が自分の可能性を諦めずに、夢のために力を発揮し、その力が誰かのためにもなっている――。
そんな社会を信じて、おりがみは活動を続けています。
2014年に学生団体として誕生し、2021年にNPO法人化。
障がいのある方と若者が共に旅を楽しむ「パラ旅応援団」をはじめ、地域・教育・文化をつなぐ多彩なプロジェクトを展開しています。
誰もが“もうひとつの居場所”を持てる社会を目指し、ボランティアの新しいかたちを創り続けています。
