ストックから無駄な要素を削ぎ落とし、よりシンプルに走りを求めて生み出されたフリスコスタイルは、ともあすれば我々にとって最も手に入れやすいチョッパーのカテゴリーだろう。ここではごく簡単ながら、それを作り上げる虎の巻的な要素の数々を名車を紹介しつつ伝えたい。
走りの性能を追求した都市型チョッパーが基本
これまで本誌特集においてロングフォークやノーフロントブレーキのチョッパーに対して耳のイタイ注意喚起に終始してしまった感もあったが、そうしたことと無縁な、実は多くの人にオススメできるスタイルカテゴリーが、ここに紹介するフリスコスタイルだろう。
もともとは60年代にアウトローバイカーたちが警察の追跡から逃れるために自然発生的に生まれたというこの手のスタイルは、あくまでも“走り”を求めるのが基本。
もともとはハマーなどの小排気量ハーレーのタンクを流用したオヤクソクのハイマウントタンクなどの装備は軽量化を狙ったものであり、その上で純正のファットボブタンクに比べて少なくなったガソリン容量を少しでも解消するためにタンク後方に燃料コックを移設し、ガソリンを最後の一滴まで使い切れる工夫が凝らされている。そうした実用性を持つゆえ、ブレーキや足まわりを強化した方が、より“らしい”雰囲気となるのだ。それはこのあと紹介する車両たちを見れば理解できるだろう。
また名の由来は坂道が多く交通量の多いサンフランシスコで生まれたゆえ。この手のチョッパーはどこで作られようがフリスコスタイルと呼称したほうが話が早い。
ハイライズのハンドルバーがフリスコ、基本中の基本

もともとアウトローバイカーが追っ手である警察から逃れるためにクルマの渋滞の中をスリ抜けしやすいようモデファイが施されたという逸話をもつフリスコスタイルだが、やはりそれを製作する上でハンドルバー選びは重要なポイント。
定番のセットアップとしては6~8インチぐらいのストレートライザーにドラッグバーやスーパーバーを組み合わせるのがお約束だが、好みによってはグリップが肩の位置ぐらいになるエイプハンガーなどもアリ。渋滞のクルマの間をスリ抜けする際、ミラーに接触しないぐらいの高さと、乗りやすさを両立するのがスタイルを作り上げる基本である。ここもセンスが問われる箇所だ。