WRC(世界ラリー選手権)に参戦するTOYOTA GAZOO Racing ワールド・ラリー・チーム(TGR-WRT)が、2026年シーズンのラインアップを発表。オリバー・ソルベルグを新たにレギュラードライバーに加えた5人体制が明らかになった。
今季のTGR-WRTは、先日行なわれたラリー・ジャパンまでの13大会中12大会で勝利を記録するなど圧倒的な強さを見せており、マニュファクチャラーズタイトル5連覇も既に確定させている。ドライバーズタイトルもトヨタ勢同士の争いとなっており、最終戦を前にエルフィン・エバンス、セバスチャン・オジェ、カッレ・ロバンペラの3人に王者の可能性がある。
ただその中で、2022年、2023年のシリーズチャンピオンであるロバンペラは今季限りでラリーから引退してサーキットレースへと転向し、来季は日本のスーパーフォーミュラに参戦することになっている。その穴を埋めるような形で、来季からソルベルグが新たにレギュラー入りすることとなった。
ソルベルグは今季、Rally 2車両のGRヤリスを駆ってWRC2に参戦しタイトルを獲得。7月のラリー・エストニアではTGR-WRTから最高峰クラスにスポット参戦すると、いきなり総合優勝を成し遂げ注目を集めた。来季は満を持してのレギュラー参戦だ。
体制発表リリースの中で、ソルベルグは次のようにコメントした。
「今年はTOYOTA GAZOO Racingファミリーの一員として戦った、最高の一年だった」
「GR Yaris Rally2でスピードと安定性を持ったシーズンを送り、WRC2の選手権をチームと共に勝ち取るという大きな目標を達成した。その後、Rally1でエストニアに出場できたのも本当に素晴らしい経験だった。そして、WRCのトップレベルに正式な形で戻るチャンスを得て、今年は多くの夢が叶った年となった」
「この素晴らしいチームの一員であることに心から感謝している。Rally1車両に関してはまだ学ぶべきことが多く、現実を見据えながらも、楽しみながらベストを尽くしていきたい」
エバンス、オジェ、勝田貴元、そして今季からフル参戦しているサミ・パヤリの4名は来季もチームに残留する。また今季3大会を欠場しながらタイトル争いに絡んでいるオジェは、来季も引き続きパートタイム参戦になるとのこと。「初戦のラリー・モンテカルロから始まり、半数以上のイベントに出場する計画」とされている。
Rally1で戦う唯一の日本人である勝田は、ラリージャパンでは痛恨のクラッシュを喫してしまったものの、それまで優勝争いを展開。ヤリ-マティ・ラトバラ代表も今季の勝田が「優勝を目指してトップ争いができることを示した」と評している。
そんな勝田は来シーズンに向けて次のように意気込んだ。
「来シーズンもこのチームの一員でいられることをとても嬉しく思います」
「今年は最後まで上位争いができる強いラリーもありました。一方で、厳しい瞬間もありましたが、それらが将来の自分をより強くしてくれると確信しています。応援してくださった皆さんに感謝し、来年はさらに良いシーズンにしたいと思っています。
またTGRは、世界で戦えるラリードライバーを育成する『TGR WRCチャレンジプログラム』を強化。2期生の山本雄紀がWRC2の7戦を含むWRCイベントのフルシーズン参戦に挑む他、Rally3車両で経験を積んだ後藤正太郎と松下拓未はRally2のGRヤリスに乗ることになるという。
さらに来季は日本国外からもドライバーを迎え入れる。グローバル選考会にて、ラリー経験が少ないながら高い能力とポテンシャルを示したエストニア出身の18歳、ジャスパー・ヴァヘルがプログラムの一員となり、後藤や松下と共にRally2車両で欧州の国内戦やERC、WRCイベント等に参戦する。

