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光学システムにおける「ワームホールと多重現実」を構築することに成功

光学システムにおける「ワームホールと多重現実」を構築することに成功

「三重現実」「四重現実」も視野に?次の展開とは

Credit:Canva

今回の研究により、SFで語られてきた「平行空間」や「ワームホール」といった概念を光の世界でたとえとして再現する実験に成功しました。

研究者たちは「実際に本物のワームホールやマルチバース(多元宇宙)を作ったわけではない」と明言し、これは光のふるまいがそう見えるように設計された“工学的な再現”であると説明しています。

つまり、これまで空想上の不思議な現象と思われていたものを、実験室の中で確かめられる具体的な素材や装置に変えたという点が大きな進歩なのです。

この方法は、実際の宇宙のワームホールを理解する手がかりになる可能性もあります。

さらにこの成果を応用すれば、新しい展開が考えられます。

1つの物理空間に複数の光の現実を干渉させずに並べて存在させられるということは、これまで一緒に置くと性能が落ちてしまった光学機能を、互いを邪魔せずにまとめる道を開いたことを意味します。

研究者たちは、この手法によって「かさばる光学系や限られた機能性、相互干渉といった課題を克服する新しい設計の道が見えてきた」と述べています。

また、この方法は光以外の波(たとえば音波や電子の波など)にも応用できると論文で示されています。

非局所的な構造という新しい自由度を使えば、これまで別々にしか作れなかった光の装置を1つのチップにまとめ、複雑な光回路やフォトニックデバイスの小型化が進むと考えられます。

高次元物理の効果を模倣して実験できるという点でも、この研究は「次元の壁を越えた設計」への第一歩といえるでしょう。

さらに現在は2つの並行空間(入口2つ)でしたが、素材の構造をより対称的に設計すれば、3つ以上の独立した光空間を作り出すことも理論上可能と論文は述べています。

つまり「三重現実」や「四重現実」も、設計しだいで再現できるかもしれないのです。

SF的な発想を実験で検証できるレベルにまで高めたという点で、この研究は光学だけでなく、現代物理全体に新しい考え方をもたらす成果だといえるでしょう。

参考文献

赖耘、彭茹雯、王牧和CT Chan团队首次实现光子“平行空间”与“虫洞”
https://www.nju.edu.cn/info/1067/443041.htm

元論文

Nonlocality-enabled photonic analogies of parallel spaces, wormholes and multiple realities
https://doi.org/10.1038/s41467-025-63981-3

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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