スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦では、3台のマシンが大破する大クラッシュが発生し、パドックに緊張が走った。GT300のマシンとバリアに挟まれる格好となった64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTは激しいインパクトだったためドライバーの安否が心配されたが、幸いにも大草りきは自らの足でマシンから降りて無事だった。
接触した右フロントは、コクピットやエキゾーストパイプが露出するなど酷いダメージを受けていた。車両開発を担うHRC(ホンダ・レーシング)は、車両がうまく衝撃を吸収してくれたのではないかと語った。
車体開発責任者の徃西友宏氏は、ガレージに戻ってきたばかりの車両を見た所感として、次のように述べた。
「フロントのセンターについているクラッシャブルストラクチャー(衝撃吸収構造)はそれなりに潰れていますが、その後ろのエンジン本体とその周りのフレームのところは直接打撃が入っていないように見えました。右前輪側の足回りは非常にダメージがありますが、エネルギーを受け止めてくれているところがなくなっていました」
「前側のサイドにもクラッシャブルストラクチャーがついていますが、綺麗になくなっています。外れたタイヤや足回りも含めて、外れることのできる部品がクシャクシャっと壊れたおかげで、ドライバーさんやモノコック本体への衝撃が緩和されたのかもしれません」
そう語った徃西氏。ラージ・プロジェクトリーダー(LPL)の佐伯昌弘氏も「(衝撃を)綺麗に吸収しているかな」と同意した。
またチームによると、マシンから降りた大草は痛みを訴えていたというが、外傷は擦り傷程度という話もあり、HRC開発陣も元気な様子であったと話していた。
ドライバーが無事だったということで、気になるのはモノコックのダメージ。これについて徃西氏は「外から見ているだけなのでなんとも言えませんが、致命傷的なものはまだ確認できていない状態で、思いの外骨格にはダメージが及んでいないなというのが今の印象です」とのことだった。
いずれにせよ、64号車Moduloはクラッシュまではトップ5圏内に位置し、表彰台も視野に入る走りを見せただけに、久々の好成績を残したいチーム、そして大草としても落胆は隠せない。佐伯LPLも「(クラッシュがなければ)4位、5位あたりを走っていたんじゃないかなと」と残念がった。

