AIが紡ぐ音楽が、現実の音楽チャートを揺るがしています。ここ数カ月、AI生成アーティストが次々とビルボードに登場。アメリカのビルボードで初めてチャート入りを果たした「ザニア・モネ(Xania Monet)」など、AIアーティストが台頭しています。
人間とAIの共作が生み出す新しい「AI音楽」
AI音楽とは、人工知能がメロディーや歌詞、リズムなどを生み出して創作される音楽のことです。近年では、AIが完全に楽曲を生成するだけでなく、人間のアーティストと協力して創作を行う“共作型”のスタイルも急速に広がっています。
AI音楽の大きな特徴は、スピード・自由度・創作の民主化にあります。数分で一曲を生成できるスピード感、ジャンルや感情を自由に設定できる柔軟性、そして音楽理論を知らなくても作曲が可能になる手軽さ。これらの要素が、かつて一部の専門家だけのものだった音楽制作を、誰にでも開かれた創作活動へと変えつつあるのです。
一方で課題も存在します。AIは大量の既存楽曲を学習して新しい音を生み出すため、著作権やクレジットの問題が避けて通れません。
音楽ビジネス誌『Music Business Worldwide』によると、AI音楽制作プラットフォーム・Sunoは「生成された曲はサンプリングではない」と説明していますが、創作の境界は依然として曖昧なままです。
しかし、こうした新しい技術は、すでに音楽シーンを大きく変えています。
AIアーティストがヒットチャートを席巻
ビルボード誌の報道では、過去5週連続で少なくとも1組のAIアーティストがチャートデビューを果たしており、AI音楽が商業的成功を収めつつあることが明らかになりました(本記事執筆時点)。
特に注目を集めているのが、AIシンガーのザニア・モネ(Xania Monet)です。
モネはミシシッピ州の詩人・デザイナーであるテリシャ・“ニッキー”・ジョーンズ(Telisha “Nikki” Jones)が生み出したAIアーティスト。ジョーンズは自作の詩をAIツール・Sunoに入力し、AIと共同で楽曲を制作しています。
このハイブリッドな制作手法が功を奏し、モネは米国ビルボードのエアプレイチャートに初登場したAIアーティストとなりました。
さらにモネは、公式ストリーミング再生回数4440万回を突破し、わずか数カ月で5万2000ドル以上の収益を記録(いずれも本記事執筆時点)。音楽レーベル・Hallwood Mediaと数百万ドル規模の契約を結ぶなど、AIアーティストとして前例のない成功を収めています。

