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<Adoプロデュース・ファントムシータ>人の感情を掴むレトロホラーの正体、新曲のポップな魅力と歌詞に潜む狂気を語る

<Adoプロデュース・ファントムシータ>人の感情を掴むレトロホラーの正体、新曲のポップな魅力と歌詞に潜む狂気を語る

ファントムシータ
ファントムシータ / 撮影=MANAMI

2024年6月26日、歌い手のAdoプロデュースでインディーズデビューしたアイドルグループ、ファントムシータ。初ワンマンは日本武道館、すぐさま海外14都市を巡る世界ツアーに飛ぶという破格の規模感がアイドル業界を驚かせた。帰国後はユニバーサル ミュージックからメジャーデビューし日本ツアーに突入。11月11日(火)にはデジタルシングル「botばっか」をリリースする。レトロとホラーを融合した「レトロホラー」というジャンルをパフォーマンスで見せるファントムシータだが、その世界観は表層的なイメージよりも、人の感情をあらわにする内面こそが軸だという。ステージを離れればやっぱりアイドルという一面と共に、新曲「botばっか」で表す“ポップで可愛い”新しいホラーを、メンバーのもな、美雨、凛花、百花に語ってもらった。

■ファントムシータの4人はこんな人物、メンバー間の他己紹介

――まず皆さんのことを教えてほしいのですが、せっかくなので「メンバーから見たこの子」という感じで、一人一人を紹介していただけますか?

もな:じゃあ、私から。桃色担当のもなです。どうぞ!

美雨(みう):はい、もなを紹介します(笑)。もなは最年少ながらすごくしっかりしていて、MCや取材のときにリードしてくれるまとめ役です。かわいさとレトロホラーという、ファントムシータの表現を一番武器にしているメンバーだと思います。プライベートはあまり明かしていなくて、例えるなら松田聖子さんのような、「アイドルの語源」にふさわしいアイドルを目指しているメンバーです。

――もなさん、それはその通りなんですか?

もな:自分で言うのは本当に恥ずかしいのですが、アイドルの語源にふさわしいというか、プライベートを見せすぎない方がいいのかなと思って。みんなが見ている「向こう側のアイドル」であり続けたいと思っています。

――続けて、美雨さんの紹介をお願いします。

凛花(りんか):白色担当・美雨の紹介をする凛花です。美雨は、最年長の頼れるお姉さんです。爆発的な表現力が武器で、パフォーマンスでは常に違う表情で見せているのが本当にすごいです。普段から感情が豊かで、アイスにすごく詳しくて、食べ物について色々教えてくれます。

美雨:アイス、好きなんです(笑)。

凛花:年上なので頼れるし、相談もできるお姉さんです。

百花(もか):紫色担当・凛花の紹介をする百花です。凛花はこの見た目、雰囲気からしてちょっと猫っぽいイメージを持たれる方が多いと思います。でも、猫っぽさとは逆に、歌声もダンスもすごく力強くて、メリハリがあって、ファントムシータのステージに迫力を加えてくれるメンバーです。個人的に凛花の特徴的な声質がすごく好きです。普段はクールな面もありつつ、ふわふわしている面もありつつ、ギャップも魅力です。

もな:水色担当・百花を紹介するもなです。百花はすごくピュアな女の子です。まっすぐで可愛くて、ちょっと天然なところもあり(笑)。それがステージ上ではびっくりするぐらい人が変わって、表現の幅がものすごく広くて驚きます。歌声も力強かったり柔らかかったり、ダンスも抜群にうまいです。それに至る練習量も知っている私が思う百花の人柄は、すごく努力家でストイック。でも、天然な一面があるから、いまだによく分かってはいません。

――ものすごく理解しているのかと思いきや(笑)。

もな:でも、いまだに掴めない一面もあるから魅力的だなと思います。

■歌詞の裏側は不穏だらけ、新曲「botばっか」

――ファントムシータは他のアイドルグループとだいぶカラーが違います。「ファントムシータってどんなグループ?」と聞かれたとき、どう説明していますか?

もな:レトロホラーがコンセプトのアイドルで、歌い手のAdoさんがプロデュースしてくださっています。「レトロホラーってなんだ?」というと、「ホラー」はお化けや怪異というわけではなく、人の内側に秘めている黒い感情です。楽曲を聴いていただけると分かると思いますが、恋愛が絡んだり、友情を欺いていたり、そうしたものに感じる怖い感情を私たちは「ホラー」と呼んでいます。「レトロ」も日本の古風なものに限定しているわけではなくて、それこそ昭和のアイドルが持っていた儚さ、手が届かなそうな雰囲気の魅力。語り継がれているアイドルの原点みたいなものを「レトロ」と定義しています。たとえ言葉ではピンと来なくても、パフォーマンスを見ていただければ一発で納得してもらえると思います。

――では、新曲の「botばっか」の中で、そのレトロホラーはどんな表現で表されていますか。今までの楽曲とはイメージがまた変わってポップな楽曲の印象ですね。

凛花:私も最初は可愛いくてポップな曲だと思いましたが、歌詞を読んで考えるうちに、これはやっぱり私たちの曲、レトロホラーと可愛いの良いとこ取りをした曲だと気づきました。

――どの部分にそう感じましたか?

凛花:「イチゴジャムかけてひとかじり」や「わらび餅の海で溺れて」のあたりですね。「イチゴジャム」というのが果たして本当にイチゴジャムなのか、「わらび餅の海」というのも想像によってはすごく不穏に変わるキーワードだと思います。

■「botばっか」にある愛を理解していないからこその加虐性

――そんな今までと違うテイストの楽曲を、レコーディングではどうレトロホラーというコンセプトと融合させましたか?

もな:私たちのパフォーマンスって、「こういう怖い顔をしよう」と決めるよりは、楽曲を解釈した上で、「この曲の主人公はこう思っているのではないか」「こういう感情になったなら、こういう動きをするのではないか」みたいに、中から出す方法で表現しています。

ですからこの「botばっか」も私たちが解釈した上でパフォーマンスするので、やることは何も変わらないですね。確かに楽曲自体は可愛いですが、この曲を噛み砕いて、振り付けも絡めながら、「この動きはどういう表情なんだろう」「どういう心情で動いているのか」というのを一番内側で考えて、それが自然と表情に反映されてきます。まだMVを撮る前なので(取材時)、私たちもこの曲にどうアプローチしていくか未知の部分があって、パフォーマンスをするのがすごく楽しみになっています。

――そうしたところでいうと、みなさん、「botばっか」からどういった感情や気持ちを受け取りましたか?

美雨:私は一見可愛い女の子に思えて、実はけっこう冷たい印象を受けました。今までの楽曲は自分の感情に素直になって襲いかかるような曲が多いのですが、この曲は一歩線を引いているというか。「bot」という単語も、機械的なリズムがあって、相手に感情を求めているわりに、当の本人は心がない感じ。愛を理解していないからこその加虐性が垣間見えます。今まで私たちが見せてきた必死な感じを全く感じさせない。内心、何を思っているのかという、アイドルの仮面を被った状態から垣間見える内面。そこもホラーなんじゃないかと思います。

百花:私も美雨と同じです。読み解いていくうちに私たちらしいホラーな部分をすごく感じました。今までの曲では笑顔や明るい表情を見せることはほとんどなかったのですが、「botばっか」はあえて可愛らしく、笑顔で見せている感じが逆にすごく怖い印象。新しいホラーの表現ができる曲をいただけると思います。

――「botばっか」で特に聴いてほしいインパクトのある箇所、パンチラインみたいなところはありますか?

凛花:やっぱり台詞のところですね。最初にもなが言う、「ちょっと痛かったね♡」と、その後の2サビの最後にある百花の「ちょっぴり苦しいね♡」。あと、ラストにある私たち全員での「ちょっと痛かったね♡」。そこの小悪魔感、相手に同情している感じを出しつつ、実は何とも思っていないような冷たい感じ。

美雨:急に突き放される感覚が、この曲を聴いていて面白いなって思います。

 ファントムシータ
ファントムシータ / ※提供写真

■言語を超えて世界でも好きになってもらえるグループに

――2025年5月にメジャーデビューをしましたが、それ以前とそれ以後で何か変化を感じることはありますか?

もな:環境や周囲の反応よりも、私たち自身の意識の変化の方が大きいと思います。メジャーデビュー直後に日本での初ツアーに突入して、メジャーデビューシングルを背負って臨むという節目だったので、「このツアーを通して何が得られるんだろう」「これから何段階も上に行くにはどう挑もうか」と、すごく練っていた時期でした。

――それ以前は世界ツアーをしていたので、4月からの日本での活動は、ようやく日本のアイドルらしい活動をし始めたという感じでしょうか?

美雨:それはありますね。ここから日本でスタートだっていう気持ちで、TOKYO IDOL FESTIVAL2025をはじめ、アイドルの夏フェスにもたくさん出させていただきました。

――海外ツアーと日本ツアーでは、お客さんの反応は違いましたか?

もな:海外の方々はほぼファントムシータを生で見るのが初めてだったので、「初めまして」の感動というか、そういう熱狂がものすごくありました。日本のツアーでは以前から応援してくださっているファンの方もいれば、昨年の武道館ぶりに見に来てくださった方も多いような印象です。私たちも海外ツアーを通して成長したと自負していたので、改めて圧倒されたんじゃないのかなって。会場の雰囲気からはそう感じました。

――「レトロホラー」というジャンルに対する海外の方の反応はどうでしたか? 怪談、妖怪など、和のホラーは今ちょっとしたブームになっています。

もな:どちらかと言うと“和”に限定するわけでなく、日本の文化が好きな人たちがこんなにたくさんいらっしゃるんだと思いました。「おともだち」の和の女学生の雰囲気が刺さった方、「キミと××××したいだけ」のボカロサウンドが刺さった方とか入口は色々だと思いますが、その階段を経て、最後は誰もがファントムシータを好きになるように、ゆくゆくは言語の壁を越えて、たくさんの人に届くようなパフォーマンスができるアイドルになりたいです。

取材・文/鈴木康道

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