本連載では、北青山D.CLINIC院長の阿保義久先生が、忙しい現代女性の健康と美を守るヒントをお届けします。
「秋、あった?」──そんな声が聞こえてきそうな今年。
日中は20℃前後と過ごしやすいものの、朝晩はぐっと冷え込み、薄手のコートが恋しい季節になりました。
昼と夜の寒暖差に体がついていかず、なんとなく重だるい、手足が冷える、肌の調子が揺らぐ。
そんな不調を感じていませんか?
この、気温のアップダウンこそが、自律神経に負担をかけ、冷え・むくみ・肌のくすみなどを招く「寒暖差疲労」のサインです。
今回は、そんな「寒暖差疲労」のメカニズムと、美と健康を守るセルフケアを医師の視点で解説します。
寒暖差疲労とは?

10月まで汗ばむ日もありましたが、11月に入ると朝晩の空気がひんやり感じられるようになりました。
このように日中と夜の気温差が大きい時期は、体が気温の変化にうまく対応できず、自律神経が過剰に働き疲れてしまいます。
この状態を「寒暖差疲労」といいます。
私たちの体は、外気温が変わっても体温をほぼ一定に保つようにできています。
寒くなると血管を縮めて熱を逃がさないようにし、暑いときは血管を広げて体の熱を逃がす。
この体温調整を担っているのが自律神経です。
自律神経って何?

私たちは意識せずとも呼吸をし、心臓を動かし、体温を保っています。
この、無意識の生命活動をコントロールしているのが自律神経です。
自律神経は全身に張り巡らされ、呼吸・心拍・血圧・体温・消化・代謝などを24時間365日休むことなく調整しています。
その中枢は脳の「視床下部」にあり、気温やストレス、感情の変化などに応じて体を常に最適な状態に整えています。
自律神経には、役割の異なる2つの神経があります。
交感神経:日中や緊張しているときに働き、血管を引き締めて体をアクティブに。
(運動時や仕事中に心拍数が上がるのはこの働き)
副交感神経:休息時やリラックス時に働き、血管をゆるめて体を回復させる。
(お風呂で温まると血流が良くなり、眠くなるのはこの働き)
この2つの神経が、まるでアクセルとブレーキのようにバランスを取ることで、体は健康な状態を維持しています。
ところが、寒暖差が大きい時期にはこの切り替えが何度も起こり、自律神経がオーバーワーク状態に。
その結果、自律神経による体温調節や血管の収縮・拡張の働きが乱れ、血の巡りも悪くなります。
「自律神経は、体の内側のバランスを整える、司令塔のような存在です。気温差が大きいと、この司令塔が過労を起こし、血の巡りが滞ったり、代謝の働きが鈍ったりします。その影響は、冷えやだるさといった体の不調だけでなく、肌の乾燥やくすみなど美容面にも現れます。」(阿保義久先生)

