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とらやの冬の定番「虎屋饅頭」が今年も始まったぞ! 毎年このためだけに私を虎屋に行かせる凄い饅頭

とらやの冬の定番「虎屋饅頭」が今年も始まったぞ! 毎年このためだけに私を虎屋に行かせる凄い饅頭

・一瞬の輝き

オーダーからしばし。これが、私を毎年このためだけに赤坂まで赴かせる虎屋饅頭だ。今日は暑かったので、ドリンクは抹茶グラッセにした。

ビジュアルは極めて普通の饅頭。当サイトはよくグルメを扱う。そのわりに、この饅頭を1度も扱っていないことに私が気付いたのは先日のこと。編集部にネタ出しする際に、どんな見た目かわかるURLなどは提示しなかった。

こんな普通のビジュアルだと知れたら、その真価など無関係に却下されてもおかしくないと考えたからだ。WEBメディアは、見た目にわかりやすいインパクトがある物を扱いたがるものなので。

話を饅頭に戻そう。こいつは、出てきてから速攻で食べるべき。寿命が短いのだ。熱くなく、冷たくもなく、パーフェクトな温度で提供される。

生地表面はむっちりと張っている。しかし硬いということはない。試しに黒文字で押してみよう。わずかな抵抗の後、容易く表面が破れる。生地の持つわずかな粘着性から、正しい湿度を有することが伝わる。

この蒸し加減が、自分でやるとなかなか上手くいかないのだ。巧みな加減もまた、他所で食べる酒饅頭と虎屋菓寮で出てくる酒饅頭の差であると感じる。

餡はこんな感じ。みっちり詰まっている。この餡は一見するとそれなりの質感を持ってそうだが、舌に乗せればたちまち崩れ去り、極めて細かい粒子の集合体であるという実感が得られるタイプのもの。

さて、蒸し加減、温度、餡子、どの要素もパーフェクトだが、こいつの何が最も素晴らしいかというと、とにかく酒の香りだ。ふわぁっと、恐ろしく上品な酒の香りが漂う。

甘く、瑞々しく、日差しが気持ちのいい春先の草原の風とか、なんかそういうのをイメージさせるような方向性のものだ。この香り、「清い」の一言が最もふさわしいと私は常々思う。

この香りのピークは一瞬だ。本当にすぐに香り、先述の隙のない餡と共にほぐれて消えていく。集中して味わわねばならない。

饅頭としても1個400円台は中々のものなのに、一瞬かよと。しかしそれが美しいと思う。もっとピークが長かったら、それはそれで嬉しいが、しかし何か重要な要素が陰る気がする。

とにかく繊細なバランスの上に仕上がっている、素晴らしい酒饅頭なのだ。こいつの食体験のピークは1秒とかそんなものだろう。しかしその1秒の体験が、毎年こいつを食べねばならぬと思わせるに十分な輝きを放つ。

あらためて言語化すると、恐ろしく贅沢な饅頭だ。今年も素晴らしい仕上がり。この酒種はどんなものを使っているのだろう。毎年気になるが、饅頭の美味さで好奇心はうやむやになっている。

参考リンク:虎屋
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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