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「日本にはEUの轍を踏んで欲しくない」アップルSVPのJoz氏が語る【インタビュー】

iPhoneの発表会でカリフォルニアのアップル本社に行った際に、Appleのワールドワイドマーケティング上級副社長、グレッグ“Joz”ジョズウィアック氏の話を聞くことができた。すでにみなさんご承知のとおり、EUではDMA(EUデジタル市場法)が導入され、個人情報が大きな危機にさらされ、アップルデバイスの多くの機能が利用できなくなっている。

日本でもこの12月から『スマホ新法(スマートフォンにおける競争確保に関する法律案)』が施行される予定であり、法律の運用次第では同じことになる危機に瀕している。ジョズウィアック氏は、「日本にはEUの轍を踏んで欲しくない」と語った。

※写真はiPhone発表会のKeynote動画から引用。インタビュー時のものではない。

EUでは、『ライブ翻訳』も『iPhoneミラーリング』も使えない

インタビューの話に移る前に、最新の情報を解説しておこう。

現地の法律に基づくと、多くのユーザーの個人情報が漏洩してしまう可能性があるため、アップルは多くの機能をEU圏内でローンチできていない。

たとえば、MacからiPhoneを操作する『iPhoneミラーリング』や、今話題のAirPodsを使った『ライブ翻訳』もEUでは提供できない。

たとえば、ライブ翻訳はAirPodsとiPhoneがシームレスかつ強力に連携することが必要不可欠で、両デバイスからの音声が統合され、iPhone上でApple Intelligenceを使って翻訳される。しかし、EUの規制に則ると、アップルは他の開発者にも複数のマイクを利用するAPIを許可しなければならなくなる。しかし、他企業がアップルの提供するユーザーのプライバシー、セキュリティ、誠実さに関する高い保護基準を満たすことは困難だし、そもそも喜んで情報を取得するかもしれない。

また、最近、アップルはEUに対して『iOSの通知機能』『近接ペアリング』『ファイル転送手段』『自動Wi-Fi接続』『自動オーディオ切り替え』などの規制除外を申請していたが、その全てが却下されたという。

おそらくEU圏のiPhoneでは、これらの機能は今後使えなくなる可能性が高い。

日本のスマホ新法の実際の運用はこれから定まっていくが、もしEUと同様の方針が採られるようであれば、日本でもライブ翻訳、iPhoneミラーリング、近接ペアリング、AirDropなどが順次使えなくなっていく可能性がある。これはどう考えても避けたい事態だ。

人々の対話を促進するはずのライブ翻訳が、規制されて断絶を生むなんて、あまりにも悲しいことだ。特に多言語社会であるヨーロッパにおいてこそ、役立つはずの機能であるにも関わらず。

欧州委員会の無茶な要求

インタビューにの話に戻ろう。ジョズウィアック氏が語った話の核心は、EUで導入されたDMAの規制が、スマホ新法を含む他国の政策にも同様の影響を及ぼしかねないという危惧にある。彼は「ユーザーのプライバシーとセキュリティ保護を損なう」「イノベーションを妨げる」と、強い言葉で警鐘を鳴らす。

中でも彼が繰り返し口にしたのは、「相互運用性(interoperability)」という概念である。欧州委員会の言う「すべての製品と連携させろ」という指示は聞こえは良いが、それほど簡単な話ではない。

アップルはこれまで、数十万のAPIを開発者に公開しつつも、製品全体の体験が「魔法のように動く」よう設計してきた。カメラやマイク、連絡先、位置情報サービスなど、多くの要素を慎重に統合することで、一貫したユーザー体験を築いてきた。しかしDMAでは、こうした独自の体験すら他社製品に開放することが求められる。それは『魔法』を『最低限の機能の寄せ集め』にしてしまう危険を孕んでいる。

配信元: Dig-it

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