19歳のF1ルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)にとって、今シーズンは浮き沈みの激しいシーズンとなっているが、第21戦サンパウロGPではF1スプリント、グランプリレース共に自己最高の2位に入り、強烈な印象を残した。
アントネッリにとって、表彰台に乗るのは3位に入ったカナダGP以来2回目。その他に印象的なリザルトを残したレースを挙げると、マイアミGPスプリント予選でのポールポジションがそのひとつと言える。興味深いのは、いずれも彼がジュニアカテゴリーで経験したことのないサーキットでのレースだったということだ。
通常であれば、ルーキーは下位カテゴリー時代に経験のあるヨーロッパのサーキットで強さを発揮するものだ。ところがアントネッリの場合、それは当てはまらなかった。むしろシーズン中盤のヨーロッパラウンドでは苦戦し、9戦で入賞はわずか2回。ミスやクラッシュも多く、ホームレースとなったエミリア・ロマーニャGPでは、地元の声援によるプレッシャーにうまく対処できず、パフォーマンスに影響してしまったと語っていた。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、ヨーロッパ以外のレースではファンからの熱狂的な注目を受けないことがプラスに働いているのではないかと考察する。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンからの猛攻を凌ぎ切って2位でフィニッシュしたアントネッリのレースを振り返り、ウルフ代表はこう語った。
「週末を通して本当に力強かった。知らないサーキットでのレースだったことで、少し楽だったのかもしれない」
「ヨーロッパのレースほどプレッシャーは強烈ではなく、期待値が低いのかもしれない。そして彼は最終的には完璧な走りを見せた。フレッシュかつソフトなタイヤを履くマックスを抑え込んだのは見事であり、彼の将来を示すような内容だった」
2022年にF4、2023年にフォーミュラ・リージョナルで複数のタイトルを獲得するなど、鳴り物入りでF1にステップアップしてきたアントネッリ。F1は自分と実績や経験値の大きく異なるドライバーと相対する初めてのカテゴリーとも言えるが、ウルフ代表はジョージ・ラッセルという非常に優秀なチームメイトが比較対象となっている点も、アントネッリの適応に時間がかかった一因だと考えている。
「彼はまだ19歳と非常に若い。これまで得意だったヨーロッパのサーキットに来ると、逆にそれが不利になることがある。それに最高なチームメイトもいる」
「一方で知らないサーキットに来ると、プレッシャーも少なく、周りからの期待値も低い。ファンからの圧もヨーロッパのコースよりは大きくないだろう。そういった要因は大きいと思っている」
2026年もメルセデスに残留することとなったアントネッリ。一時はフェルスタッペンが加入するのではという噂も浮上し、アントネッリの去就も話題となっていたが、ウルフ代表は契約延長が当初からの計画通りであったと主張し、苦戦していた時も彼の才能を疑ってはいなかったと語った。
「私は常に、彼が必要な感覚を掴んでくるだろうと自信を持っていた。だからこそキミが来年も残ることは明らかだった」
「今のマシンは複雑で、タイヤマネジメントも学習が必要なのは間違いない。そういう意味では、今回は非常に素晴らしい結果だと言える。先ほども言ったように厳しい時も多々あったが、彼の将来を疑ったことは一度もない」
「ただし、彼への期待は抑えようとしている。というのも、イタリアの人たちはモントリオール(カナダGP)やマイアミの後にレジェンドだと騒ぎ立て、それが余計なプレッシャーになった」
「地に足をつけていくべきだ。今日彼は2位で、マックスを抑え切った。それは素晴らしいことだ。だが我々の目標はレースに勝ち、チャンピオンシップを争うことだ」

