先週末の欧州各国リーグでは、多くの日本人選手が自らのシュートで勝利や勝点獲得に貢献、もしくは一矢を報いるゴールを挙げた。
その中で、最も技術的に高い一撃を放ったのは、フランクフルトの堂安律だ。現地11月9日に行なわれたブンデスリーガ第10節のマインツ戦(1-0)で、両者スコアレスのまま終盤に突入して迎えた81分、背番号20は敵陣ペナルティーエリア右側でドリブル勝負を仕掛け、2人のマーカーを置き去りにしてゴールに迫り、角度のないところからシュートをファーポストに流し込んだ。
クラブは公式サイトで「堂安がエリア内で2人の相手DFの間をドリブルで抜け出し、ゴール左隅を正確に狙ったシュートが、ホームの観客を歓喜の渦に包んだ」と伝え、SNSでは「救世主」と日本人アタッカーを称賛。ディノ・トップメラー監督も、以下のように堂安を評した。
「後半にチームを立て直して、マインツのブロックを突破できるようになると、スペースが生まれた。そしてリツ(堂安)が、まさにそこを上手く突いた。あれこそ、我々が必要としていた『魔法の瞬間』であり、信じられないほど見事な個人技だった」
ブンデスリーガの公式サイトは、「堂安がアイントラハトを救う」と見出しを打ち、「エリアの角で2人の相手選手を華麗にかわし、冷静にファーサイドへ流し込んだ」と得点場面を振り返り、「2本のシュートのうちの1本をゴールに結びつけた。日本人MFは非常に走力が高く、10.8kmを走破。チーム内最多タイとなる19回のスプリントを記録し、アイントラハトの攻撃を牽引した」として、「マン・オブ・ザマッチ」に選定している。
現地メディアの報道では、ドイツの通信社『dpa』が「ついにそれ(得点)を成し遂げたのは堂安だった。フライブルクから加入した新戦力は、立て続けに相手2選手をかわし、低い弾道のシュートをファーポストへと正確に打ち込んだ。マインツのGKロビン・ツェントナーに全くチャンスを与えなかった」と試合レポートを綴った。 一方、スポーツ紙『Kicker』は「日曜夜のフランクフルトで行なわれた一戦は、ハイライトこそ多くなかったものの、堂安のひらめきによるひとつの天才的瞬間が全てを決めた。日本人MFがフランクフルトに、価値ある、そして妥当な勝利をもたらしたのだ」と報じ、他にも「見事な個人技によるゴール」「天才的な一撃」とレポート記事に賛辞が並んだ。
日刊紙『Bild』は、試合自体を「あくびが出るほど退屈」と酷評したが、その中で「堂安が終盤に少しの見せ場を作り出した。この日本人選手が見事な単独突破でシルバン・ヴィドマーとアルミンド・ジーブを鮮やかにかわした。ついに歓喜の瞬間だ! 堂安にとって、これは第2節ホッフェンハイム戦以来となる今季3点目のゴール」と伝え、その一撃を「スーパーソロ」と表現した。
ドイツのスポーツ専門チャンネル『Sport1』も、「堂安の閃きにフランクフルトは救われた」と報じ、「彼のスーパーソロによるゴールのおかげで、アイントラハトは『ライン=マイン・ダービー』を制し、欧州カップ出場圏争いに食らいついた」「チャンピオンズリーグでナポリとスコアレスドローを演じた5日後、ヘッセンのクラブは日本人選手の強烈な個人技によってマインツの守備をこじ開けた」と、日本代表MFの働きの大きさを強調している。
フランクフルトの地元メディアでは、日刊紙『Frankfurter Allgemeine Zeitung』が「ブンデスリーガでは、選手たちは1試合に1チーム平均で30回ほどドリブルを試みる。左から仕掛け、右からも試みるが、成功する確率は非常に低い。だからこそ、それが成功した時――つまり、1人の選手が2本の守備者の脚をすり抜けられた時――それは特別な瞬間となる。さらに魅力的なのは、4本の守備者の脚を一度に抜き去ってしまう時だ。堂安律は日曜の夜、まさにそれをやってのけた」と、その技術を絶賛した。
また、『Frankfurter Rundschau』紙は、個別評価の記事において「素晴らしいソロプレーから、決勝点となる待望のゴールを決めた。非常に見事なプレーだった」と称えたものの、評価は「及第点」。「このゴールの前には、これといった見せ場もなく、プレーの迫力や押しの強さにも欠けていた」と理由と記した。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】マインツ戦で披露した堂安のスーパーゴール!(5:17あたりから)
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【動画】バルサ対ソシエダのハイライト。久保のクロスバー直撃弾は7:50あたり

