
鈴木彩艶が怪我で不在。ガーナ戦でGKの先発は? 序列では早川友基が一歩リードか。小久保玲央ブライアンの豊富な国際経験にも期待【日本代表】
11月シリーズでガーナ、ボリビアと対戦する日本代表。10日に活動をスタートさせ、2日目の11日には遠藤航(リバプール)や堂安律(フランクフルト)らも合流。ピッチ上に出て練習したのは9人だけだったが、26人全員が揃った。
正守護神の鈴木彩艶の負傷で追加招集された野澤大志ブランドン(アントワープ)が加わったGKグループも、3人全員で臨戦態勢に突入した格好だ。
今回の早川友基(鹿島)、小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)、野澤というGKグループは、いずれも代表経験が少ない。初招集の小久保と、昨冬のアジアカップに参戦した野澤はキャップ数がゼロ。今年になって急成長した早川は、7月のE-1選手権の中国戦に出場しただけだ。
鈴木が左手の骨折という事態に直面し、本来であれば大迫敬介(広島)が穴を埋めるはずなのだが、クラブが天皇杯の準決勝(11/16)に進出していることで今回は選外に。代表歴の浅い3人で、北中米ワールドカップ本大会の出場権を獲得しているガーナ、来年3月の大陸間プレーオフに挑むボリビアと相まみえる。大きな重圧を背負うことになるが、逆に絶好のアピールの機会とも言えそうだ。
そこで、14日のガーナ戦だが、先発争いは早川と小久保の一騎打ちの構図と見られる。E-1後、9・10月シリーズに招集され、J1で首位の鹿島でも圧巻パフォーマンスを見せつけている早川が序列的には上だろう。
「E-1の後、鹿島でヒリヒリしたゲームも経験しましたし、代表を含めて自分のキャリアとして本当に充実した日々を過ごせている。緊張感を持ちながらも楽しむところ、あとは全力で自信を持ってやりたいなと思います」と本人も強調する。
気がかりな点があるとすれば、国際経験の乏しさではないか。明治大学時代はコロナ禍で海外遠征ができず、年代別代表経験は皆無。となれば、圧倒的な身体能力とパンチ力を誇るガーナのアタッカーと対峙した際、感覚的なズレが生じないとも限らない。本人もそこは意識して戦う必要があるだろう。
その早川に比べると、2019年にポルトガルに渡った小久保には豊富な海外キャリアがある。ベンフィカの下部チームで長くプレー。2024年のパリ五輪では「国防ブライアン」の異名を取るほどの好セーブを連発し、直後にシント=トロイデンへ移籍。2シーズン続けてコンスタントに試合出場を重ねているのだ。
「(アフリカ勢は)不意なシュート、ロングシュートが基本的に多いと思ってるんで、そこの準備は常にしなきゃいけない。欧州でもアフリカ系の選手とやってますけど、縦に速かったり、ドリブルも理不尽な抜き方をしてくるので、その対応は日本ではなかなか味わえない。向こうで良い経験をしていると思います」と本人も語る。
小久保のもう1つの強みは、最終ラインの統率役である谷口彰悟(シント=トロイデン)と日常的に共闘している点。初代表でも目の前に谷口が陣取っていれば、守備をオーガナイズしやすい。
それ以外の面々との意思疎通もスムーズになるはず。もちろんA代表未経験ということで、未知数な部分は否めないが、テストするに値する人材であるのは確かだ。
個性やバックグラウンドの違う早川と小久保をどう使い分けるべきか。そこは森保一監督も悩ましい部分だろう。ガーナという強豪を相手に早川を送り出して世界基準のプレーができるかをチェックするのも有意義なことだし、小久保の豊富な国際経験に命運を託すのもまた一案だ。
今後のトレーニングとコンディション、周囲との連係面などを見極めたうえで、最終判断を下すことになるはずだ。
いずれにしても、今回の2連戦はここまで出番の少なかったGK陣の実力を再確認する貴重な機会になる。鈴木の怪我が順調に回復するという前提で、2026年W杯本番は彼と大迫が当確。残された1枠を巡る争いは熾烈なのだ。
早川、小久保、野澤。あるいは、今回は選外だが、最終予選に呼ばれていた谷晃生(町田)という選択肢もある。ピッチに立った選手は、自身の存在価値を前面に押し出し、最後の砦としてゴールを守り切るしかない。2025年ラストの代表活動で、“阿修羅”の新ユニホームを身にまとうGKの一挙手一投足から目が離せない。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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