医師がすすめるセルフケア
阿保院長が提案する、日常に取り入れやすい予防と改善の方法をご紹介します。1. 就寝前の足首運動

布団に入る前に数分間、足首を上下にゆっくり動かしてみましょう。
ふくらはぎの筋肉がポンプのように働き、血流をスムーズにしてくれます。夜間のこむら返り予防に効果的です。
2. 入浴で筋肉と血管を温める

38〜40℃のお湯に10分ほど浸かることで、筋肉の温度が上がり血流が改善されます。
冷え性の方は足湯や半身浴もおすすめです。シャワーだけで済ませず、しっかり温めることがポイントです。
3. 食事で血管と筋肉をサポート

食事は、筋肉だけでなく血管と血液を整え、こむら返り予防にも大きな力を発揮します。
「忙しくて、食事だけでは十分な栄養素が摂れない!」そんな方にはサプリメントの併用も有効です。
特に注目したいのが次の栄養素です。
●ビタミンP
そばやホウレンソウに豊富なルチン、柑橘の皮や筋に多いヘスペリジンは、血管をしなやかに保ち、毛細血管の強化に役立ちます。血流をスムーズにし、中性脂肪やコレステロールの改善にも有効とされています。
●ビタミンA・C・E
アボカドやカボチャ、ナッツ類に含まれる抗酸化ビタミン。強力な抗酸化作用で活性酸素から血管内皮を守り、弾力を維持します。特にビタミンCはコラーゲン合成を助け、血管壁そのものを丈夫に保つ働きがあります。
●EPA・DHA
イワシやサバなどの青魚に多く含まれる必須脂肪酸であるEPA・DHAは、体内でほとんど作ることができません。血液をドロドロにする血中のコレステロールを減らすとともに、血液中の固形成分である赤血球をやわかくして、細い血管まで血液を流れやすくしてくれます。
●硫化アリル
玉ねぎやにんにく、ニラなどに含まれる硫化アリルは、血栓の形成を抑えて血液をさらさらにするとともに、末梢血管を拡張して血液循環を改善する働きもあります。
●マグネシウム
海藻・豆類・ナッツ・緑の葉野菜に豊富で、カルシウムと拮抗しながら筋肉をゆるめるブレーキ役。不足すると痙攣を起こしやすくなるため、特にこむら返り予防に欠かせません。
「血管を守る・酸化を防ぐ・血流を整える・筋を緩める」という4方向からの栄養サポートが、夜の足つり対策に直結します。
まとめ
夜のこむら返りは、単なる筋肉の疲れではなく、体が「血流と栄養のバランスを整えてほしい」と発しているサインです。特にマグネシウム不足は筋肉のブレーキを弱め、痙攣を誘発します。
運動・入浴・食生活の見直しを組み合わせることで、こむら返りは予防・改善が可能です。
小さな工夫で快適な眠りと健やかな脚を取り戻しましょう。
北青山D.CLINIC阿保義久院長プロフィール

1965年青森県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を発案したほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、生活の質を高めるアンチエイジング療法、進行がんに対する革新的治療まで、質の高い医療サービスの提供にも精力的に取り組む。
「医療にイノベーションを」を理念に掲げ、理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』、『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。
