
アニメ「ウマ娘 シンデレラグレイ」(毎週日曜昼4:30-5:00、TBS系ほか/ABEMA・ディズニープラス・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)の第18話「WILD JOKER」が11月9日に放送された。最後の直線を残すのみとなったジャパンカップ。先頭を走るタマモクロス(CV.大空直美)だが、その背中を偽りの仮面を捨てたオベイユアマスター(CV.石上静香)が猛烈な勢いで追走する。別人となったオベイの激走に、「インパクト凄まじい」「激アツレースだった」と喝采が集まった。(以降、ネタバレが含まれます)
■道化の仮面を捨てたオベイユアマスター、執念の激走
トニビアンカ(CV.甲斐田裕子)、ミシェルマイベイビー(CV.高垣彩陽)を抜いて、領域《ゾーン》に入ったタマモクロスに迫ってきたオベイ。瞳からキラキラの星は消え、その顔は今までの愛嬌はどこへ行ったという形相に変わっていた。これが本来の彼女の素顔だったのだ。
アメリカでくすぶっていたオベイだが、それはコースが合わず、実力を発揮できないでいたからだ。西海岸に移り、芝のスピードコースは自分に合っていると確信を得るが、それでも勝ち切れないレースがあった。相手のリサーチ、それがオベイに足りないピースだった。
トレーナーの助言でジャパンカップへの参戦を決めたオベイは、道化の仮面を被る。自分の情報はひた隠しにして、相手の情報を徹底的に分析する。ライバルたちを欺いて、何がなんでもジャパンカップを勝つという執念はついにタマモを捉え、勝利をもぎ取った。

■第8回ジャパンカップのペイザバトラーと重なるオベイユアマスター
1988年のジャパンカップ。現実の競馬では、ペイザバトラーが優勝馬となっている。本作のファンの間ではこのペイザバトラーがオベイのモデルと考えられており、「ペイザバトラー(Pay the butler)→執事への報酬」→「オベイユアマスター(Obey your master)→主人に従う」というオシャレなネーム変換だと推察されている。
ペイザバトラーの騎手だったクリス・マッキャロンは当時、ジャパンカップで勝つために、タマモクロスとオグリキャップの天皇賞(秋)のほか、東京競馬場のレースVTRを片っ端から繰り返し見て研究したという。ペイザバトラーについては口を閉ざし、余計な警戒を与えない。
作中、オベイが演じた道化、タマモのレースをテープが擦り切れるほど見たという言葉は、このマッキャロンのエピソードに由来するものだろう。オベイはタマモとの競り合いを避けたが、マッキャロンも闘争心の強いタマモクロスとの競り合いを避け、ペイザバトラーの手綱を取っている。
本作を観たあとに当時のジャパンカップの、VTRを観ると、各ウマ娘たちの位置取り、レースの流れがきれいに再現されているのが分かるところだ。また、入院したトニビアンカが「しばらく日本に」と語っていたが、これもトニビアンカのモデルと推測される凱旋門賞馬トニービンがその後、日本で種牡馬となったことに重ねていたのだろう。

■オグリキャップに足りない何か、着差はまたしても1と1/4
レースでは、オベイ1着、タマモ2着、そしてオグリキャップ(CV.高柳知葉)が3着に食い込んだ。一度は沈んだと思われたオグリだが、残していた末脚でミシェルマイベイビー、トニビアンカを抜き去っていた。しかし、前を走るタマモとオベイには追いつけない。
道中の不利を受けながら怪物に相応しい追い上げを見せたが、結局着順掲示板に示されたのは、またしても1と1/4という数字だった。
オグリの中で何が足りないのか。ディクタストライカは「オグリの奴・・・もう少しだったな」と何かに気づいたようだが、オグリ自身はそれに気づいていない様子。オグリのプランではタマモに合わせて次走は有マ記念となるが、そこまでに一皮剥けることができるのだろうか。
放送後には、「オベイの執念を見てすっかり好きになった」「タマちゃん、清々しいの良き」「オグリは2人と違ってゾーンに入れなかったってことかな」など、終えた激闘にさまざまな感想が寄せられていた。
◆文=鈴木康道


