守備のベストナインを選ぶ「三井ゴールデン・グラブ賞」が11月12日に発表され、セ・リーグはリーグ優勝した阪神からなんと、7人が選出された。同一チームから7人受賞は、セ・リーグで初となる。
投手部門の村上頌樹、捕手部門の坂本誠志郎、一塁手部門の大山悠輔、二塁手部門の中野拓夢、三塁手部門の佐藤輝明、外野手部門の近本光司と森下翔太が受賞した。近本は5年連続の受賞であり、大山は244票で両リーグ最多得票を獲得。村上、佐藤、森下は初受賞で、球団の投手部門受賞は2019年の西勇以来、2人目だ。生え抜きでは初である。
阪神がほぼ総なめ状態だが、注目すべきなのは三塁手部門で受賞した佐藤だろう。佐藤のエラー数は2023年が20、2024年は23だったが、今年は6に激減した。守備の特訓で下半身が強くなり、それが打撃にも生かされたといわれる。
その結果、本塁打、打点の2冠に加え、初のゴールデン・グラブ賞受賞となったわけだが、その得票の内訳をみると、オヤッと思うものが。佐藤220票、DeNA・宮崎敏郎8票、該当者なし41票だったからだ。
この「該当者なし」への投票が意味するものは、佐藤への「昨年までの酷い守備から向上しただけで、名手というほどではない」とする評価だろう。
「同じ守備位置と守備機会で、平均的な野手と比べてどれだけ失点を増減させたか」を示す、UZR(Ultimate Zone Rating)という指標がある。平均的な野手のUZRはゼロであり、優秀な選手の数値は高くなる。佐藤は1.7だった。
ちなみに中野は7.2、遊撃手部門で受賞した巨人・泉口友汰は11.9、近本は9.5で、森下は7.4である。
ゴールデン・グラブ賞は全国の新聞、通信、放送各社のプロ野球担当記者にによる投票で決まり、例年「該当者なし」が少なくないことや、意外な選手に1票だけ入っていることもあって、論議を呼びやすい。今回のセ・リーグ三塁手はその一例といえそうだが、本拠地・甲子園球場は土のグラウンドで守備が難しいといわれるだけに、急激に守備力を向上させた佐藤は、褒めるべきかもしれない。
(鈴木十朗)

