吸引とモップの2段階の掃除で床がツルピカに
ローラーモップの効果も絶大。ローラーには常に洗浄液入りの水がスプレーされており、強力に回転して汚れを拭き取る。そして、回転する時にその汚れと、汚れた水をこそげ落して、ボディ内タンクに溜める構造になっている。ローラーは場所によっては少し右側にせり出して、壁ギリギリを掃除するようになっている。

ベースステーションに戻ると汚水は回収され、さらにローラーは100度のお湯で洗浄される。こうした一連の流れが仕組みとしてでき上がっているから、人間がぞうきんで拭くより清潔なのかもしれない。
実際、我が家は妻が日々ぞうきんがけしているので、きれいだと思っていたが、Aqua10 Ultra Rollerが掃除したあと、溜まった汚水を見て驚いた。初回はとても汚水の量が多かったから、我々が掃除し切れていないところも多かったのだろう。たしかに、Aqua10 Ultra Rollerを使うようになってから、床がいつもきれいになった。
一番の『売り』である高度なナビゲーションシステム
OmniSightSystem 2.0と呼ばれる高精度なナビゲーションもたいしたものだ。部屋を最初にマッピングして、効率的に掃除できるように動くし、何か障害物があったら、それは避ける。スマホアプリのマップを見ると、『ここには電源ケーブルがあった』『布が落ちていた』『障害物があった』などと認識している。特に落ちていたものについては『織物87%』などと、AIで認識しているであろう形跡もある。

ロボット掃除機が動いて来た時に、あわてて椅子をどけてもそこは掃除してくれないこともあるので、最初にスキャンした時にあるていどモノの位置を認識しているようだ。しかし、目の前にモノを置くとちゃんとぶつかる前に止まって避けるので、プランとは別にリアルタイムで障害物を認識して開始する仕組みもあるのかもしれない。
『下ごしらえ』すれば、さらにきれいに
何回か使うと、コツを会得してきた。
ロボット掃除機というと「ボタンひとつでOK」だと思っていたのだが、実際にはちょっと手間をかけてあげた方が効率的に、隅々まできれいになる。

床に置いてあるものはなるべく片付けて、カーテンはたくし上げて(そうしないと避けて通るので、下にホコリが残る)、移動できる椅子は他の部屋に持って行った方がいい。

それから、家具の上や、壁の下部の巾木(はばき)の部分に溜まってるホコリを掃き下ろしておくと、それもロボット掃除機が吸い取ってくれて便利。こうしたちょっとした下ごしらえで、さらに部屋がきれいになる。

最初のうちは私のiPhoneで制御していたのだが、『デバイスの共有』機能を使って、妻のiPhoneでも制御できるようにした。どちらからでもロボット掃除機をコントロールできるようになって便利。

このアプリが実に良くできていて、モップやブラシをコーナーなどで突出するかどうか、カーペットがあった時にどうするか、家具など障害物に対してどのぐらい攻めるか(当たっていいのか、間を開けて回避するのか……などの細かい設定が可能。さらに、掃除の予約もできるし、掃除の履歴もずらりと残る。
この情報を妻と共有できるのも大変便利なのだ。
2階での運用は『手で運ぶ』が最適解
さらに、我が家の場合、2階も掃除したいというニーズがある。
某所で階段を登るロボット掃除機も発表されていたが、我が家のような急な階段を無理に登って転落してバラバラになってもらったりしては困る。むしろ、手で持って上がった方が安全で分かりやすくていい。

『2階』という別マップを作って、2階の部屋を認識してもらうようにした。2階の3部屋と廊下は全部いっぺんに掃除させることもできるが、筆者の書斎だけを除外して、あとの2部屋と廊下を掃除してもらい、昼食を食べに1階に下りている間に書斎を掃除してもらうというパターンができ上がった。

最初のうちは階段から転げ落ちないかと心配したのだが、どうやらそれほどドジではないらしい。慎重に段差を越えて、部屋に入って掃除する様子を見ると、なんとなく愛着が湧いてくるから不思議だ。また、電源ケーブルや細かいガジェットが床に置いてあることの多い筆者の部屋でも、ちゃんとそれらを避けながら掃除してくれることも分かった。とはいえ、あらかじめどけておいた方が、掃除してもらえる面積が広くなるので良いのだが。

2階の部屋は、普段1階ほど頻繁に掃除はしていなかったのだが、Aqua10 Ultra Rollerが来てからは、持って上がってスイッチを入れるだけなので、掃除の頻度が上がった。
ずっと仕事をしていて、うっすらとホコリが積もっている感のあった書斎も、Aqua10 Ultra Rollerが来てから常にピカピカになった。とはいえ、取材用の機材を大量にお借りしていて段ボール箱だらけになっている時は、Aqua10 Ultra Rollerに掃除してもらえる面積が少なくて申し訳ないが。
寝室は、我々が入居する前は畳の部屋だったらしく(現在は全部フロアタイル敷き)、廊下から4cmぐらいの段差があるのだが、そこも脚を伸ばして、グイッと乗り越えていく。

最初に掃除した時は、2階を掃除している途中に「モップを洗浄したいので、ベースステーションに戻りたい」と言い出したので、これは面倒だなぁ……と思ったのだが、2回目からは床がきれいになったのか、1回で2階の床を全部掃除してくれるようになった。
『ワンボタンでOK』はイメージと違うが、『手作業よりきれい』は本当
ロボット掃除機初体験の筆者が、急速に成長しつつある中国メーカーの24万9800円のDreame Aqua10 Ultra Rollerを試させてもらってどうだったか?
まず、思ったより手放しで掃除するわけではないということに気がついた。家具を移動する、カーテンをたくしあげるなど下ごしらえをした方が、きれいに掃除してもらえる。床に落ちているものも片付けておいた方がいい。
一方、それらの過程を省略しても、ボタン1つできれいにしてくれるという使い方もアリだと思う。下ごしらえが面倒なぐらいだったら、とりあえず走らせておけばいい。
驚いたのは、手作業よりきれいになるということだ。床のツルピカ度合いは明らかに手作業の掃除より高い。妻が常に拭き掃除をしてくれていたリビングはさらに。ついサボりがちだった筆者の書斎はじめ2階は、従来より明らかにきれいになった。

家の広さや床の構造、家族構成などによって利便性をどう感じか違うだろう。子どもがいて、日々、食べこぼしや、外遊びの砂などで猛烈に汚れていく家庭で、ワンフロアだったりするなら、圧倒的に導入した方がいいと思う。誰もいない時にとりあえず走らせておけば、床におもちゃが落ちてても、脱ぎ散らかした服があっても、それを避けて掃除してくれるはずだ。
もちろん、それらを片付けてから動作させた方がいいが、その手間をかけられないことが、我が家も10〜20年前にあった。子どもがいて、忙しい家庭にはぜひ使って欲しい。

あと、意外と愛着が湧くのも面白かった。慎重に部屋をサーチし、掃除し、一生懸命段差を乗り越え、せっせと動き回る姿は、なんだか愛おしい。いっそ、猫耳でも付けて、ペットロボットを兼ねても面白いと思うのだが、そうはならないのだろうか?
同社にはもっと安価なモデルもあり、モップで拭き掃除してくれるタイプでも数種類ある。それぞれ、吸引力やモップの仕様、段差を乗り越える能力などは違うようなのだが、多分ソフトウェア的に共通仕様だろうから(別に開発するとコストがかかる)、安価なモデルでも悪くないような気もする(ただしセンサーの性能が違うと思うが)。
ただ、それらの製品の満足度は分からないし、現在この24万9800円のDreame Aqua10 Ultra Rollerが33%オフの16万7366円(11月10日現在。安価なセットから売れていくので、お早めに)で購入できるのだから、満足できる最高級品を買っておくというのも手だと思う。絨毯がある家なら、吸引力が高い方が絶対にいいから、Aqua10 Ultra Roller一択かも。また、モップを100℃で洗浄してくれるのもいい。濡らすものだから日本の湿度を考えると、どうしても雑菌の繁殖とかが気になっていたのだ。
自分で買うなら、どの価格帯のものを買うかという迷いはあるが、少なくとも、もうロボット掃除機のない生活は考えられなくなってしまった。
(村上タクタ)