2025年4~10月に大阪で開催された日本国際博覧会(大阪・関西万博)で吉本興業ホールディングス株式会社が出展したパビリオン『よしもとwaraii myraii館』。パビリオンのテーマとして「笑いと健康」を掲げ、さまざまなプログラムの発信や取り組みを展開しました。吉本興業はその取り組みの一つとして、来館者の感情と笑顔をAIで分析・検知する大規模な実証実験『Smile Log』を実施し、この度、実験で得られたデータの分析結果が発表されました。
エンタメの「笑い」が人々の感情にポジティブな影響


エンターテインメントとしての「笑い」が人々の感情にポジティブな影響を与え、心身の健康につながる可能性のほか、「周囲の人が笑っていると自分もつい笑ってしまう」という“笑いの相乗効果”の仮説が示唆されたとして、監修した昭和医科大学の大嶽浩司・医療イノベーション担当教授は、「万博という特別な舞台において実現した、世界初の先進的かつ極めて価値の高い取り組み」と評価しました。

『よしもとwaraii myraii館』は、メインエントランスとなる笑顔の球体『タマー』と、毎日さまざまなプログラムが展開される『アシタ広場』で構成されており、連日たくさんの来場者でにぎわいました。
実証実験は、「笑い」を客観的な指標で測定・可視化(定量化)する目的で、来館者の協力のもと実施されました。その一つが、パビリオン入退館時やコンテンツ鑑賞の前後の感情を比較する「感情分析」。もうひとつは、顔認証AI機能を搭載した笑顔検知ツールを活用し、来館者の自然な笑顔を検知することです。
■感情分析

Olive株式会社が開発した感情分析ツール『LA CAUSE』を活用。パビリオン内に掲出されたQRコードよりブラウザアプリにアクセスした来館者を対象に、パビリオン入退館時やコンテンツ鑑賞の前後比較で生体情報(心拍変動、体動)を読み取り、「リラックス」「ワクワク」「ヘトヘト」「ストレス」の4項目で感情を分析しました。
<感情分析の結果>
・アプリ起動者の累計:1,335,360人
・感情計測者の累計:35,985人
・複数回計測者の累計:22,678人
<感情分析考察>

結果として、71%の方が「リラックス」の感情を感じており、『よしもとwaraii myraii館』における「笑い」が癒しにつながる可能性が示唆されました。
『Comedy show』では「ワクワク」が7%上昇し、『〇〇のアシタ』では「リラックス」が8%上昇するなど、コンテンツの種類によって変化する感情の違いがみられました。「万博カラオケ」として話題になった『盆踊りのアシタ』では、ダンスと熱唱のせいか、「ワクワク」と「ヘトヘト」が大幅に上昇するという結果も現れました。
全体の18%の「ヘトヘト」、3%の「ストレス」といった方々を、「笑い」を通じて、どのように「リラックス」に導けるかが今後の課題と認識しています。
■笑顔検知

一般社団法人One Smile Foundationが開発した、個人を特定せず、笑顔を検知するAI技術を搭載したツール『スマイラル』を活用。ステージに常設されたリモートカメラ2台で、コンテンツを楽しんでいる来館者の自然な笑顔を検知しました。
<笑顔検知の結果>
・笑顔回数の累計:10,275,874回
・日最大値:170,231回(10月13日)
・時間最大値:39,111回(9月7日 19時台)
<笑顔検知考察>


『よしもとwaraii myraii館』でのエンターテインメントを、多くの方が楽しんだことが確認されました。
曜日別では日曜日が最も高い水準を示し、次いで土曜日が高い傾向にありました。これは週末に来館される方のほうがリラックスされている可能性が示唆されます。
1日の中での変化を見ると、13時台から徐々に上昇し、19時台にピークを迎え、17時以降は閉館近くまで一定の水準が保たれていました。来館者の多い時間帯のほうが笑顔の割合が高くなっており、周りの笑顔が自身の笑顔を引き出す要因となっている可能性が示唆されます。
ギネス世界記録
について
会期中の184日間で、笑顔検知ツールで集めた笑顔の数が1,000万回を超えたことで、「単一イベントにてAIで検知された笑顔の最多数」としてギネス世界記録
に認定され、10月13日夜に『よしもとwaraii myraii館』にて公式認定証が授与されました。