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今日書きたいことはこれくらい:「ゴーストトリック」は何故面白いのか、久々に遊び直したら自分の中での解像度が上がったので語り倒す

今日書きたいことはこれくらい:「ゴーストトリック」は何故面白いのか、久々に遊び直したら自分の中での解像度が上がったので語り倒す

手探りと手遊び感覚で目的を考え、達成していく面白さ

 まず、ゴーストトリックの最大の魅力って、何よりここだと思うんですよね。基本となるアドベンチャーゲーム部分、それ自体が面白い。

 このゲーム、基本的にはサイドビューの場面を見ながら、画面のあちこちにある様々な物の「コア」に「トリツク」で移動して、更に「アヤツル」を使って状況を変化させて、場面場面での状況解決を目指していく、という形で進みます。

 この時、「トリツク」距離に制限があるという設定が、ゲーム的にも物語的にもまず絶妙でして、画面上を移動するにはコアからコアへと飛び移っていかないといけないため、コアがない場所には移動できないし、遠いコアには届かない。コアはいわば、シセルが移動するための「足場」であると同時に、プレイヤーの移動範囲を制限する枷にもなるわけです。

 一方、「アヤツル」の効果はトリツいた物によって変わり、例えばライトにトリツクと点灯させることができたり、冷蔵庫にトリツクと扉を開いてコアの位置をずらすことができたりします。タイヤを転がしたりはできますが、自由に物を飛び回らせたりはできないわけです。

 このゲームでは、多くの場面で、最初に「そのシーンで何が起こったか(例えばヒロインがいきなり撃たれてるとか)」を見せられて、その4分前に戻って過去を改変しようとする、という建て付けで進むわけですが、この「アヤツル」によって何を動かせば状況を改善できるのか、やたら考えさせられる作りになっているんですね。

 ヒロインを救うためには、狙撃の場面まで行かないといけない。そのために何をすればいいか? 今のままだと遠くのコアには届かない。落ちているものを動かして、なんとか足場を作れないか?

 たどり着いたとして、どうやったら狙撃を阻止できるのか? ただライトをつけて驚かしただけでは、どうせすぐまた撃たれてしまう。なんとか、狙撃自体をやめさせる方法はないか?

 時には、「大きな目的は見えているものの、そのために何をすればいいかさっぱりわからない」というようなシーンもあります。「何を達成したら状況が改善するのか」を、試行錯誤しながら考えないといけない。

 「トリツク」対象はいつもいつもじっとしているわけではなく、時間経過によって画面の状況は刻一刻と変わっていきます。時には動いている対象にタイミングを計って「トリツク」必要がありますし、「棚の扉を開いてボールを弾いて、その弾かれたボールに素早くトリツク」みたいなアクション性が求められる場面もあるわけです。

 この結果、プレイヤーは、色んなものに取りついて、「アヤツル」ことで何が起きるかを確認しながら、「目的達成のためには、どのタイミングでなんにトリツいて、何をアヤツればいいのか?」を、試しては戻り試しては戻り、いわばPDCAを回しながらひたすら考えることになるわけです。

 色んなものをアヤツって「お、これを動かすと画面がこうなるのか」と、まるでピタゴラスイッチのような状況の変化を観測すること自体楽しいのですが、更に「これとこれを動かすと、状況はこうなる筈」と考えて、その通り上手くいった時の快感。ピタっと予想通りに動いた時には、脳汁出るくらい気持ちよくなれます。

 「真剣に考えさせてくれるゲーム」はそれだけで大抵面白いですが、パズル要素とアクション要素が絶妙に噛み合ったゴーストトリックは、その点「極めて良質」と言っていいでしょう。章によってはそこそこ難易度高いんですが、とはいえ途中でヒントも出るし、何度でもやり直すことができるので、初心者の方でも詰まることはないと思います。

 また、「アヤツル」によって発生する動作自体、やたらアニメーションがキレッキレなので、ただ色んな物をいじくってるだけでも面白い、という側面もあります。シセルが「扉を見ると、取り敢えず何かを吹っ飛ばしたくなる」みたいなことを言うシーンがあるんですが、大変同感としかいいようがないわけです。

少しずつプレイヤーに「見えてくるもの」が変わっていく、視界コントロールの巧みさ

 一方これはシナリオの話なのですが、プレイヤーにとっての「見える範囲」の調整具合、という要素も重要です。

 アドベンチャーゲームの一番のキモは、「情報開示の調整具合」だと思っています。物語の、あるいは謎解きの、どこまでを見せてどこからは見せないか。隠された事実、シナリオの核心を、どの時点でどうプレイヤーに開示するか。時には、最初から色んなことが開示されているんだけど、当初はその意味がわからず、あとから「そういうことだったのか!」という納得感に襲撃される、なんて場合もあります。

 「ゴーストトリック」はその点どうなのか、というと、ひとことで言うと「マジで良質」です。

 例えば、シセルの「死者の力」の中には「電話線を伝って移動する」という能力もあり、これを使ってシセルは色んな場所に移動できます。電話がかかってくると、その電話の先に移動できる。これ、物語の序盤から、結構あちこちに行けるようになるんですよ。

 ただ、「死者は、死んだ当初記憶を失っている」という設定のため、シセルも記憶を失っており、プレイヤーもシセルの視点を共有しています。結果、「色んな場面や会話を目撃するんだけど、その意味、そこで何が起きているかが、その時点ではさっぱりわからない」という状況が、色んな場所で発生するわけです。

 これが少しずつ、「あ、あのとき見たことってそういう意味だったのか!」と、まるで霧が晴れていくように視界が広がっていく。その、いわば「納得感の強い驚愕」とでもいうような感覚が、これまたものすごく気持ちいいんですよね。同じ巧舟さんの「逆転裁判」でも卓越していた要素ですが、「ゴーストトリック」では更にそれが際立っていると思います。

 色んなキャラクターとの会話だけでなく、場面の描写、ステージに置かれている物、ステージの仕掛けに至るまで、全てに「情報」が散らばっていて、あちこち調べれば調べるほど、「これはなんなんだ?」「あ、そういうことだったのか!」が、どんどんプレイヤーの前に開けていきます。

 これは特に、「一度クリアしてからもう一度プレイする」ことで最大化する傾向がありまして、周回プレイがここまで楽しいAVGもそうざらにはないと思います。是非、何度もプレイして「そういうことだったのか!」を楽しんでいただきたいと思う次第なのです。

配信元: ねとらぼ

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