今週末にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催されるA2RL。今年で2度目の開催である。ここに今年は、日本からTGM Grand Prixが参加する。
このA2RLで走るのは、スーパーフォーミュラで使われているシャシーSF-23をベースにしたマシン。しかし完全自律運転であり、ドライバーは乗っていない。まさに新技術の実験場であり、自動運転技術の発展には、間違いなく貢献するだろう。
昨年の初開催時には、無人のマシンがヤス・マリーナ・サーキットを走り、人々を驚かせた。ただレースとなると、前を走るマシンがトラブルなどでストップしてしまうと、無人のマシンに搭載されたAIが状況を認識できず、レースが進行していかない……そんなこともあった。
また初開催の後には鈴鹿サーキットにもA2RLマシンが登場。その走行には、スーパーフォーミュラ参戦中のチームも、興味津々見入っていた。ただ、デモ走行時にはヘアピンでクラッシュしてしまったりもした。
あれから1年。A2RLの2回目の開催が今週末に迫っている。初挑戦となるTGM Grand Prixの池田和宏代表は、先日行なわれたスーパーフォーミュラ富士戦の際、その難しさについて語ってくれた。
「1周80秒を切ること、そして安全にオーバーテイクできるかというところが、特に難しいです」
そう池田代表は語った。
「ただ、半年でそこまでいけたというのはすごいことです。200km/hで走ることはできていますしね」
池田代表は昨年のA2RLも現地で視察。今年も既に現地入りしている。実際にA2RLに挑んでみて、想像以上に難しいモノだったかどうか尋ねてみた。
「簡単ということはありません。ただ、幸いにも集まってきてくれた人たちが相当優秀なので、半年でここまで来られたというのは、奇跡だと思います」
「でも、課題はいっぱいでてきています。カメラの認識という問題だったり……たくさん問題が、キリがないほど出てきますよ」
TGM Grand Prixはスーパーフォーミュラで戦っているチーム。そういう意味では、A2RLに参戦する他のチームに比べれば、SF23のことは知り尽くしていると言える。ただ、現時点ではそれがアドバンテージになっているということはないようだ。
「現状では、正直言ってその(SF-23のパフォーマンスを活かす)次元にはいけていないです。そこまでいかない状態でいかに走れるか……世の中の自動運転システムと同じで、タイヤをいかに使わずに走るかというところでやっています」
「ここからさらに速くなると、タイヤの要素、どうグリップさせるかということになると思いますが、そこまで行った時には、また違う開発をしなければいけません。それが、参戦しているチームに与えられる課題かなと思います」
なおスーパーフォーミュラの際に来日していたA2RLのシニア・コマーシャル・マネージャーであるアレクサンダー・ウィンクラー氏は、TGM Grand Prixについて次のように語っていた。
「今年はクラウド上でレースができるようなシステムを提供したので、それがすごく開発に繋がったと思う」
ウィンクラー氏はそう語る。
「自律運転マシンで一番難しいのは、他のクルマと戦うということ。1台だけで走るなら、ある程度はできてしまう。でも、レースの中でお互いのクルマを認識し合うというのは、とても難しい。でもこのクラウドのシステムを使って練習できるようになったのは、大きいね」
「クオリティゲートウェイがあって、元々いるチームは、それを超えていかなければレースに参戦できない。そして新しくできたチームには、そこまで上がってくるためのプログラムやチャンスも作っている」
「昨年の段階では、まだレベルの低い状態だった。しかし昨年参戦したチームと比べても、TGMの方が良いパフォーマンスを出すこともある」
「ただこのA2RLはまだ新しいレース。そのリーグの考えを押し付けるよりも、チームのみんなと一緒に話し合って、成長するために何が必要で、どうやったらそれを提供できるのかを考えている。そしてその情報交換の中で、どんどん成長しているんだ」
ではこのA2RLのマシンが、生身の人間がドライブするレーシングカーよりも速く走るようになるのはいつか? そう尋ねると、ウィンクラー氏は次のように語った。
「良い質問だね。いつかは分からないが、2026年にそうなっているかもしれない。残りの20%を、どうクリアしていくかだね」
お話を聞いてから少し時間が経ってしまったが、TGM Grand Prixのマシンがどれほど進化し、アブダビでどんな走りを見せるのか、注目したい。そして総額3億5000万円という賞金のうち、TGM Grand Prixはいくらを稼ぐことになるのか? 要注目である。
A2RLは、11月15日にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行なわれる。

