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グーグルで検索したことやアマゾンでチェックした商品が無関係なニュースサイトでレコメンドされるのはなぜ? 今さら聞けない「サードパーティ・クッキー」のメカニズム

グーグルで検索したことやアマゾンでチェックした商品が無関係なニュースサイトでレコメンドされるのはなぜ? 今さら聞けない「サードパーティ・クッキー」のメカニズム

選別されるのは情報か、人間か

グーグルは、自社の使命を「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」と宣言している*1。この宣言だけを読むと、インターネットに広がる「世界中の情報」を検索可能な対象としてデータベース化するという純粋な目標にも読み取れる。

しかし実際に収集している「情報」の実態を考えると、その対象はウェブページなどのコンテンツ(=オブジェクト)に限定されるものではない。利用するユーザーの行動履歴、さらにいえばそこから推定される属性や趣味・嗜好などをもつ人間(=サブジェクト)もデータベース化の対象である。

アドネットワークを活用した行動ターゲティング広告の文脈では、グーグルのアルゴリズムは、客体としての情報(オブジェクト)よりも、情報に接触する主体(サブジェクト)の方を販売対象として商品化しているともいえる。

ユーザーがさまざまなオブジェクトを無料で検索し利用できるようにすることと引き換えに、選別され販売されているのはわたしたち自身ということだ。つまり、無料にみえるサービスの対価は、ユーザー自身の「プライバシー」である。

この構造は、グーグルに限定された話ではない。SNSや動画共有サイトなど、広告モデルを採用しているあらゆるプラットフォームが、アルゴリズムを駆使して、ユーザーの行動履歴を原材料とした商品化を行っている。

アルゴリズムの最適化対象は、ユーザーの広告へのアテンションであり、さらにいえば広告主の商品購入への誘導である。

ユーザー自身の本来の目的は無視される

社会心理学者のショシャナ・ズボフは、このようなプラットフォームによる主体のデータベース化が、人間を監視することで収益を上げる「監視資本主義」だと批判的に論じている。

監視資本主義において、プラットフォーム企業がユーザーのデータベースを独占的に保有することは、情報の流れを自動化するというよりも、ユーザーの行動そのものをアルゴリズムによってコントロールし自動化することが目的となる。

プラットフォーム上のアルゴリズムは、ユーザーを、広告主という他者の目的を果たすための手段として扱う。そこではユーザー自身の本来の目的は無視されることになる。

すなわち、ユーザーは自分の意志で広告の商品を購入しているというよりも、プラットフォームのアルゴリズムが構築する予測に合致するように購入させられる道具にすぎない、というのだ*2。

実際、アルゴリズムによって商品化された行動ターゲティング広告をみたユーザーが、ターゲティングどおりに購入したとして、その「選択」にどこまでユーザー個人の「主体性」があるといえるかは疑わしい。

たとえそのタイミングで必要としていた商品だったとしても、類似のサービスや機能を満たす商品の選択肢は他にもあったかもしれない。あるいは広告掲載をしていない商品の中に、より価格の安い商品や自分の好みに合う商品がある可能性に気づかないまま、広告主の商品を買わされている可能性もあるわけだ。

プラットフォームは、大量の選択肢の中から最適な自己決定を実現するためのシステムであったにもかかわらず、アルゴリズムによる過度なパーソナライズによって、かえってその選択の「自由」を制限する結果をもたらしているとも考えられる。

情報オーバーロード環境において、その情報量をアルゴリズムによって縮減することは、主体としての選択の「自由」を自ら放棄するという逆説につながっているのだ。

脚注
*1 Google (2025)「Google について」(2025年2月10日取得 https://about.google/?hl=ja)
*2 Zuboff, S. (2019=2021). The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier
of Power. PublicAffairs. (野中香方子訳『監視資本主義│人類の未来を賭けた闘い』東洋経済新報社)

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