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ドラマのような逆転劇演じた“フェルステッペン”。名取鉄平、初優勝で喜び爆発も最終周のトップ浮上時は「あまり何も考えていなかった」

ドラマのような逆転劇演じた“フェルステッペン”。名取鉄平、初優勝で喜び爆発も最終周のトップ浮上時は「あまり何も考えていなかった」

大クラッシュにより赤旗中断となる波乱のレースだったスーパーGT第6戦SUGOを制したのは、KONDO RACINGの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zだった。チームにとっても、GT500では実に9年ぶりの優勝。前半スティントで追い上げを見せたベテラン松田次生の走りも見事であったが、最終ラップ、チェッカー20秒前に名取鉄平が見せたオーバーテイクなしには、この偉業は語れない。

 赤旗から再開された後のレースで、ヨコハマタイヤを履く24号車リアライズはペースが良く、名取は2番手に浮上するとトップを走る39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraに迫った。勢いはリアライズの方にあるように見えたが、39号車DENSOを駆るサッシャ・フェネストラズも巧みなディフェンスでドアをこじ開けさせない……膠着状態が続いた。

 名取は残り7分(赤旗による長時間の中断で時間レースに変わっていた)というところで、1コーナーでフェネストラズのアウトに並びかけようとしたが、ややオーバーラン。一旦はギャップが広がってしまったが、名取本人としては焦っていたわけではなかった。

 名取は会見で次のように語る。

「サッシャ選手はやっぱりすごくて、プレッシャーをかけてもなかなかミスをしませんでした」

「ここで一発行っといた方がいいかなと思っていました。それでもし差が離れても、後ろ(3番手の17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTが迫っていた)に抜かれさえしなければ追いつけるという自信もあったので」

「39号車にタイヤを使わせたいと思っていたので、アウトから抜こうとする素振りを見せて、行けるか行けないかの判断をしていました」 

 ただ理想的なラインを外すと、タイヤかすなどの“ピックアップ”によりパフォーマンスが落ちてしまうリスクがあるため、以降の名取はファイナルラップに照準を当て、その時を待った。1コーナーでは並びかけることができなかった名取だが、バックストレートエンドの馬の背でアウトからフェネストラズに並びかけると、クロスラインとなるSPインで前に立った。ほとんど“ラストチャンス”と言える局面で、見事な動きを見せた。

 昨年からGT500にステップアップした名取は、予選でポールを獲得するなど自らの速さを誇示する場面もあったが、チームの低迷もあって決勝の結果にはなかなか結び付かなかった。そんな中でついに手にした初優勝に、喜びもひとしおといった様子だった。

「もう、嬉しすぎてよくわかんないです(笑)」

「やっぱりシーズンを通してブリヂストン勢が強い中で、僕らも負けていないというところを見せられたので嬉しいです」

 最終ラップ、優勝のためには“ここしかない”という場面でオーバーテイクを成功させるという経験は、レース人生においてもそうそうあることではないだろう。アドレナリンも噴出したのではないかと名取に当時の感情を尋ねると、「……あんま何も考えてなかったっすね(笑)」とあっさり。その姿を見て、相方でスーパーGT参戦201戦目を数える松田が、マイクに近付いた。

「若いからそれができるんですよ。歳とってくると色々考えちゃって……(苦笑)」

「だから、“フェルステッペン”って呼んであげてください」

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