レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士が、イタリアGPの後に角田裕毅も交えて話し合いを行ない、アプローチを変えたことについて説明した。
イタリアGPでは、チームメイトのマックス・フェルスタッペンが優勝した一方、角田は他車との接触によりダメージを負った点はあったものの、全体的にレースペースが優れず、入賞を逃すことになった。
あれから2週間。アゼルバイジャンにやってきた角田は、大きく成長していた。課題となっていたレースペースも、フリー走行の段階から改善の兆しが見られ、決勝レースでも上位グループの中で互角の走りを見せた。最終的にはフェルスタッペン優勝、角田6位と差がついたものの、フェルスタッペンのドライバーズタイトルのライバルであるマクラーレンのランド・ノリスを真後ろに従えた、非常に意味のある6位だった。
マルコ博士はこの結果について、角田に対するアプローチを変えたことが功を奏したと語った。
「モンツァのレースの後、我々は話し合ったんだ。モンツァでユウキは、マックスよりも(ペースが)1秒遅いことがあったからね」
マルコ博士はSkyドイツに出演した際にそう語った。
「そこで我々は、単純にアプローチを変えたんだ。簡単に言えば、ユウキにはマックスと同じだけの経験がないから、もっとコーチする必要があるんだ。マックスがコーナーで何をするか、どこでブレーキをかけるのか、どのギヤを使うのかなどを比較した」
「そして限界域でそれほど危機的な状況にならない程度に、彼の希望に合わせてマシンをチューニングしたのだ」
前述の通り、角田がノリスを押さえてフィニッシュしたことは、フェルスタッペンがチャンピオンを目指す上で非常に大きい。しかしマルコ博士は、まだそのことをあまり考えていないようだ。
「コンストラクターズ選手権を見てみよう。ランキング2位が射程圏内に戻ってきた。そして次はいよいよシンガポールだ。まだマックスが勝てていないレースだ。どうなるか見てみよう」
角田がノリスを押さえ切ったことは重要だったのではないかと尋ねられたマルコ博士はそう語った。そして番組のアンケートでは、フェルスタッペンがタイトル争いに舞い戻るという意見が増えていることを聞かされると、マルコ博士は次のように答えた。
「まずはシンガポールの結果を見守ろう。もしそこで勝てたら、私もそう考え始めるかもしれないね」
それが現実のものとなるかどうかは、今後の角田の働きにかかっている。角田がマクラーレン勢を押さえ続けることができれば、フェルスタッペンの載冠の可能性は、グッと高まる。

