スペイン代表は今週から来週にかけて行なわれる北中米ワールドカップ欧州予選で、11月15日に敵地トビリシでジョージア代表と、18日にはセビージャでトルコ代表と、それぞれ対戦する。
13回連続16回目の本大会出場か、あるいはプレーオフ進出かが決まるこの2試合に向けて、「ラ・ロハ」は準備に余念がないが、そのチームの中にバルセロナのFWラミン・ヤマルの姿はない。7日に発表された招集メンバーには名を連ねていた18歳は、いったんは合流していたものの、バルセロナへのリターンを余儀なくされたのだ。
スペイン・サッカー連盟(RFEF)はその理由について、彼が以前から痛めていた恥骨の治療を行なうために「ラジオ波を用いた侵襲的処置」を施したことで、「7~10日間の安静が医学的に推奨される」ためであるとして、「この状況を受け、RFEFは、選手の健康、安全、幸福を常に最優先に考慮し、今回の代表招集からヤマルを外す決定を下した。我々は、彼の回復が順調に進むことを信じ、早期かつ完全な回復を願っている」と声明を発した。
しかし同時にRFEFは、バルサ側から前述の処置を行なったことを知らされたのが「11月10日の月曜日、代表チームの公式合宿初日であるその日の13時47分」で、「代表チームの医療スタッフへの事前の連絡なしに行なわれた」ことを明かし、「驚きと不快感を表明する」と、彼の所属クラブへの抗議の意を評している。
また、最近のバルサでのプレーを確認した上でヤマルの招集に踏み切っていた代表チームのルイス・デ・ラ・フエンテス監督も、11日朝にスペインの国営ラジオ局「RNE」で「サッカー連盟の関与しないところで行なわれる処置というものもある。そういうことは起きるものであり、受け入れなければならない」としながらも、困惑と不満を隠さなかった。
「私はこれまで、このような状況を経験したことがない。あまり普通のことではないと思う。もちろん、驚いた。他の人々と同じように。何の知らせもなく、詳細も分からない。繰り返すが、健康に関わる問題であるだけに……やはり驚かざるを得ない。ラミンはチームに残りたがっていた。彼は代表への使命感に溢れている。私はバルサの決定を尊重するが、同様に私の決定も尊重されるべきだ」
国内外の多くの現地メディアは、今回の件で「RFEFとバルサの間の緊張がさらに高まった」と報じているが、これは9月の代表ウィークにおけるヤマルの起用について、所属クラブの指揮官であるハンジ・フリックが「選手をケアできていない」と、デ・ラ・フエンテ監督とRFEFを批判したことに端を発している。
しかし、RFEFのラファエル・ルザン会長はこの対立を否定し、「このような事態は、より良い形で対処できたかもしれない。今回は予期せぬことが起こった。我々には、論争を起こすつもりも、そのような意図もない。ラミンは非常に重要な選手であり、彼が元気で、早く回復し、クラブでも、そして代表チームでも、できるだけ早くプレーできるようになることを願っている」と語った。
一方、バルサ側は自分たちに不備はないことを主張していると、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は報じている。記事によれば、クラブの医療部門は11月9日、セルタ戦の後にリカルド・プルナ医師を通じて、すでにRFEFに報告書を送っていたという。そしてそこには、「国際的に高い評価を受けている専門医チームによる臨床的診察を月曜日の朝に実施し、ラミンの状態を評価してもらう」ということも明記されていた。
「バルサが連盟に報告書を送った段階では、ラジオ波による治療を実施することはまだ決まっていなかったのである。翌日、その治療を提案したのはベルギーの医療チームであり、バルサがそれを承認したことで状況が変わったのだ。さらに、カランカ(スポーツ部門スタッフ)の確認によれば、月曜日の間に彼とデコ(スポーツディレクター)は、RFEF側と複数回連絡を取り合っていたという」
またバルサのジョアン・ラポルタ会長は、「検査を行なった医師からの診断結果を受け取った時点で、我々はすぐにRFEFに報告した。クラブの医療チームがその情報をRFEFの医療チームに伝え、そこから事態は経過していった。我々は騒ぎを起こしたいわけではない。バルサとしては、ラミンを最高のコンディションで維持したいと思っており、いつでも起用できる状態にしたい。今回のことはその過程で起きたものであり、ちょうど代表戦と重なってしまったが、代表チームもすでに上手く対応してくれている」とのコメントを残している。
彼はヤマルの状態にも言及し、「全く心配していない。保護し、支えていくべき選手ではあるが、彼は同年代のどの若者よりもはるかに成熟している。今は恥骨の痛みという問題を抱えているが、それでもプレーを続けているのは大したものだ。それは彼の責任感と献身を示している」と賛辞を贈った。
なお『MUNDO DEPORTIVO』紙は、今回の代表チーム離脱により、もしスペインが今月でW杯出場を決めた場合、ヤマルが次に「ラ・ロハ」のユニホームを着るのは来年3月まで待たなければならず、最後のプレー(9月7日のトルコ戦)から半年も間が空くことを指摘しているが、それは懸念ではなく、カタールでの開催が予想される「フィナリッシマ(2024年のEUROとコパ・アメリカの王者による対決)」への興味である。
欧州王者としてこの一戦に臨むヤマルの前に立ちはだかるのは、アルゼンチン代表の絶対的エースであり、バルサでは偉大な先達であるリオネル・メッシ。この対決について同メディアは、「夢の対決が実現する。両者はまだ一度もピッチ上で対戦したことがなく、その直接対決は間違いなく世界中のファンの大きな注目を集めるだろう。さらに、W杯本大会のわずか数か月前に行なわれるということでも、優勝候補同士の重要な一戦となる。まさにサッカー界が息をのむような戦いとなることは間違いない」と期待を寄せた。
構成●THE DIGEST編集部
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