レーシングブルズのリアム・ローソンは、F1アゼルバイジャンGPの決勝レースを5位でフィニッシュ。スタートポジションからふたつ順位を落としたが、それでもトップチームのマシンの間で奮闘し、最後は角田裕毅(レッドブル)の攻撃も凌ぎ切った。
この結果についてローソンは、レッドブルのシートを僅か2戦で剥奪されるなど厳しかったシーズンの中で「とてもポジティブな結果」だと語るとともに、自分のポジションを守り抜くために、レース終盤は「多少のリスク」も負う覚悟だったと明かした。
ローソンは予選で健闘し、3番グリッドを獲得。決勝レースでも、ピットストップを行なうまでそのポジションを維持した。
最終的には巧妙なピット戦略を成功させたメルセデス勢の2台に先行されたものの5位。自身のキャリア最高位を手にした。
「表彰台に上がれていたらどれだけ嬉しかったか分からないけど……でも、今日の僕らにはそれだけのスピードはなかったと思う」
ローソンはそう語った。
「レースがスタートしたら、当然のことながら何とか表彰台を目指そうと、あるいはそれが出来ると感じるものだ。今日はあらゆることを試した。ピット戦略も、キミ(アンドレア・キミ・アントネッリ/メルセデス)をカバーしようとしたんだけど、スピードが足りなかった。戦略の判断は正しかったと思うけどね」
「確かに少し悔しい部分もあるけど、全体的に見れば5位でフィニッシュできたのは素晴らしい結果だと思う。これを今後に活かしていきたいね」
ピットストップを終え、コースに戻ったローソンは、実はアントネッリの前に立った。このポジションをキープすることができれば、表彰台も夢ではなかったかもしれない。しかし、メインストレートに帰ってきた時にあっさりとオーバーテイクを許してしまった。
ローソン曰く、パワーユニット(PU)の電気エネルギーを、それまでに使い切ってしまい、争う術がなかったのだという。
「エネルギー切れだった。残念ながらね。本当に悔しいよ」
ローソンはそう明かす。
「ストレートの半分くらいまで来た時、もう(電気)エネルギーが何も残っていないと分かったんだ。この経験から学び、次の集団が来た時には、絶対にそんなことはしないようにしたんだ。1周を通じて、常にエネルギーを絶やさないようにした」
その学びが、レース終盤に角田を抑え込むのにもひと役買ったようだ。
「ユウキはフレッシュなミディアムタイヤを、グリップの良いタイヤを履いていた。きっと、もっと早く追いついてくるだろうと思っていたし、彼の方が速いだろうとも思っていた。マックス(フェルスタッペン)の走りを見れば、彼は素晴らしい走りをしていたし、マシンの調子も良かったことがわかる。だから、もっと早く追いつかれるだろうと思っていたんだけどね」
「でも今週末の僕らは、セクター3で強かったと思う。まさにそれが必要な部分だった。そしてキミとの時に学んだように、二度とエネルギー切れを起こさないように気をつけたんだ」
角田はローソンにとって、来季のレッドブル・グループのF1シートを争う直接的なライバルである。そんな角田を抑え込むことが重要だったのではないかと尋ねられると、ローソンは次のように語った。
「そうやって考えるのが楽だと思う。マシンに乗っている時は、自分がどのポジションを走っているのか分かっている……みなさんはそう思っているかもしれない。しかし正直に言って、ゴールラインを越えるまで、自分がどのポジションにいるのか全く分からなかったんだ」
そうローソンは明かした。
「だから当然、後ろにいるマシンをただ抑え込もうとしていた。ルクレール(シャルル・ルクレール/フェラーリ)の時もキミの時もそうだった。レース終盤には、当然ながら後ろのマシンを抑え込むために、少しリスクを負う覚悟だった」
「だから、それがユウキだとか、そういうことはあまり考えなかった」
ローソンは今季、レッドブル・レーシングのドライバーとしてシーズンをスタートさせた。しかし僅か2戦でそのシートを剥奪され、その後もしばらくは苦しいレースが続いた。
そんな中で今回の結果は、非常にポジティブだと語る。
「とてもポジティブだね。何より重要なのは、マシンがあらゆるサーキットで、全体的にコンスタントに良い状態を保っているということだ。これは僕らにとって、非常にポジティブなことなんだ」
「そして今後は当然のことながら、この一貫性を維持していく必要がある。もう少し改善できれば、非常に良い結果を目指して戦えるだろう。そして今日は、ウイリアムズに太刀打ちできるほどの速さはなかった」
「でも今の順位でフィニッシュすることをコンスタントに続けていくことができたら、僕らにとっては非常に力強いことだ」

