スーパーGT第6戦SUGOを制したのは、最終ラップの馬の背コーナーでのオーバーテイクで逆転勝利を収めた24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z。逆に抜かれた39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraは、あと一歩のところで勝利を逃した。
その時、39号車DENSOをドライブしていたのはサッシャ・フェネストラズ。24号車リアライズを駆る名取鉄平からのプレッシャーを、巧みなブロックラインでいなしていたが、彼としてはタイヤのグレイニング(ささくれ摩耗)に苦しんでおりギリギリだったようだ。
「最後の5〜10周は本当に苦しかった。今日はタイヤにかなり苦しめられたけど、それはブリヂストン勢みんな同じだった」とフェネストラズは言う。
「この新舗装の路面でのグレイニングは予想外なものだった。とにかく生き残ることだけを考えていて、残り5周だと伝えられたときにはナトリがすでに真後ろにいて、『これはキツい』と思った。良いバトルはできたけど、最後の周で抜かれてしまうのは……最悪だったよ。こういう経験は今まで一度もなかったと思う」
名取が再三チャンスを伺っていた1コーナーでは抑え切ったフェネストラズであったが、その後のバックストレートエンドでアウトから並びかけられてしまった。フェネストラズとしても予想できた動きではあったが、実は左のミラーが壊れていたことも不利に働いたという。
「彼らはストレートがすごく速かったから、ターン1以外で攻めてくるとしたらあそこしかないだろうと思っていた」
「言い訳するつもりはないけど、左のミラーが下を向いてしまっていて全然見えなかった。相手がどの位置にいるか確認できず、彼がアウト側に出たときも、半車身くらい後ろかと思っていた。でも実際は完全に並ばれていた。それがディフェンスには不利に働いた」
勝利を逃したことを悔しがったフェネストラズだが、チームにとっては大きな2位表彰台となった。15ポイントを加算したことで、ランキング3番手に浮上。トップを走る1号車au TOM'S GR Supraとは16.5ポイントの差があるが、次戦オートポリス戦の結果次第では逆転タイトルも十分視野に入ってくる。
フェネストラズは、レース前にもチームからリスクを負いすぎないように伝えられていたと話した。
「レース前にチームから『優勝を狙ってリスクを負いすぎる必要はない。2位でもチャンピオンシップを考えれば十分価値がある』と言われていた。今シーズンは本当に大変だったから、2位という結果には喜ばないとね」
「(サクセスウエイトによる)クルマの重量差を考えれば、自分は最大限の力を発揮できたと思う。彼ら(24号車リアライズ)は一番軽いクルマで、僕らよりも50kgも軽かった。それに、ヨコハマ勢の方が調子が良かった。悔しいけど、これ以上はどうにもできなかった。ブレーキを遅らせてトライはしたけど、あのファイナルラップで表彰台を失うリスクは取りたくなかった」
「ユウヒ(チームメイトの関口雄飛)もすごく良い走りをしてくれたし、次のオートポリスでも勢いを維持したいね」

