レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1アゼルバイジャンGPを完勝し、前戦イタリアGPに続いて2連勝。完全復活を遂げた感があり、これでチャンピオン争いの輪に再び分け入ってくるのではという声も聞かれるが、本人は「まだまだそんなことは考えていない」と冷静だ。
昨年までドライバーズタイトルを4連覇しているフェルスタッペンは今季、開幕から劣勢が続いてきた。日本GPとエミリア・ロマーニャGPでは勝利を手にしたものの、いずれも辛勝。一方でライバルのマクラーレン勢が圧倒的な強さを見せ、オスカー・ピアストリとランド・ノリスが一進一退の攻防を展開し、今季のチャンピオンはマクラーレンのどちらかだろうと誰もが思った。
しかしフェルスタッペンはイタリアGPを圧勝し、続くアゼルバイジャンGPでも完勝。かつての強いフェルスタッペンが戻ってきた。
「全体的に見て、素晴らしい週末だったと思う」
決勝レース後、フェルスタッペンはそう語った。
「序盤は前方からスタートすることが鍵だった。タイヤをうまくコントロールして、長く走るのにはそれが一番だったんだ」
「とにかくレース全体の展開には満足している。最初のスティントはかなり長く走ることができたし、マシンもほぼ思い通りに動いてくれた。ただこのコースでプッシュするためにどれだけの力を注ぐかというのは、コースレイアウトや風の強さを考えると、必ずしも簡単なことじゃない。今日はそういう意味でかなり厳しかったね」
「でも他のほぼ全員がピットインするまで、走り続けることができた。そしてミディアムタイヤに履き替えた後は、バックマーカーを抜くのに少し時間を失ったけど、その後はひたすら完走を目指した。僕らにとっては素晴らしい結果だ。今シーズンは不安定な状況だったけど、少なくともここ2週間は連続で好調を維持している」
マシンの状態は今季最高だったのか? そう聞かれるとフェルスタッペンは、「モンツァと同じ」と語る。しかしレッドブルが得意ではないコースで開催されるイタリア、アゼルバイジャンで連勝できたのは、非常に重要だと指摘した。
「モンツァと同じような感じだね。僕らにとってモンツァは得意なコースではなかった。でも勝てたのは、非常に大きかった」とフェルスタッペンは言う。
「バクー(アゼルバイジャンGP)ではこれまでもまずますだったけど、素晴らしいとまでは言えなかった。2021年と2022年以外は、少し苦戦していたんだ。だから今回のような週末を過ごせたことは、とても重要だった」
この2連勝の結果、フェルスタッペンの今季の獲得ポイントは255となった。ランキング首位ピアストリとの差もグッと縮まり、69ポイント差。この勢いで勝ち続ければ、大逆転でのチャンピオン獲得も夢ではないように見える。
ただフェルスタッペン自身はまだまだ冷静。レースごとにベストを尽くすだけだと語った。
「希望的観測に頼るつもりはないよ。残り7戦で69ポイントは、大きい差だよね。だからまだ、個人的にはそういうことは考えていない」
「ただシーズンを通じてやってきたように、レースごとにベストを尽くし、できるだけ多くのポイントを獲得することに集中していく。アブダビが終われば、結果は分かるだろう」
「(次のシンガポールGPでは)僕は一度も勝ったことがない。レッドブルとしては勝っているけどね。全く違うレースになるから、どうなるか見てみよう。ダウンフォース量が高く、タイヤのデグラデーション(性能劣化)も大きい。現時点では、本当にどうなるか分からないね」

