体内の微生物を食べているのは草食動物だけではない

草食動物の真のエサは消化液で溶かされた微生物であり、口からとる植物のほとんどは微生物を育てる「肥料」でした。
常識から一歩踏み込むと、馴染み深い草食動物たちが急に高度な生物にみえてきます。
ですがこれは何も草食動物だけの話ではありません。
例えば人間の糞を占める食べ物のカスの重量比が僅か5~7%である一方、腸内細菌の死骸は10~15%であることが知られています。
草食動物ほどではありませんが、人間もまた自らの腸内細菌を「消化」して栄養源にしているのです。
腸内細菌が重要なのは、腸内環境を整えるだけでなく、細菌そのものに栄養源としての価値があったからなんですね。
元論文
Evidence of cellulose metabolism by the giant panda gut microbiome
https://doi.org/10.1073/pnas.1017956108
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

