
遠藤&守田の“鉄板コンビ”も安泰ではない。佐野海舟の急成長で一気に序列が変わりそうな森保ジャパンのボランチ陣【日本代表】
「明日はブラジル戦のスタメンを中心に考えていきたいと思っています」
11月13日のガーナ戦前日会見で、日本代表の森保一監督が宣言した通り、ガーナ戦の先発メンバーは早川友基(鹿島)と田中碧(リーズ)を除く9人が、10月に歴史的初勝利を挙げたブラジル戦(3-2)と同じ顔ぶれだった。
1つのサプライズだったのはボランチ陣。怪我を抱える鎌田大地(クリスタル・パレス)の欠場が事前に決定。田中の先発が濃厚と目されていた。だが、10月シリーズを欠場し、戻ってきたキャプテンの遠藤航(リバプール)が控えに回ることを想像した人は少なかったに違いない。
「自分が外れてブラジルに勝った危機感? そこはあんまり気にしてないですね。チームとしての力がつけばそれでいいと思っているので」と遠藤はガーナ戦の前日に淡々とコメントしていたが、指揮官は佐野海舟(マインツ)の価値と働きを認めたからこそ、あえてキャプテンをベンチスタートにしたのだろう。
実際、ガーナ戦での佐野&田中のボランチコンビは、非常に効果的な仕事ぶりを見せていた。
「常にバランスを見ることを意識しましたし、守備の時も攻撃の時もお互いの次のプレーを考えて、良い位置取りができていた。2人ともボールを受けて良い展開ができたシーンもあったんで、まあ良かったと思います」と、佐野も手応えを掴んだ様子だ。
背番号21はドイツに渡って約1年半だが、アフリカ勢との対戦経験はそこまで多くないはず。しかしながら、序盤から相手に凄まじい寄せと球際のバトルを披露。次々と敵を潰し、ボールを奪い取って、攻めの起点となる縦のパス出しを見せていたのだ。
最たるものが、16分の先制点のシーンだった。相手DFが最前線のアントワーヌ・セメニョ(ボーンマス)に長いボールを出したところに、3バック中央の谷口彰悟(シント=トロイデン)が寄せ、佐野も挟みに行ってマイボールに。そこから堂安律(フランクフルト)、谷口を経由し、久保のパスを受けた佐野が一気に前線へ持ち込み、左から走り込んできた南野拓実(モナコ)にラストパス。南野の先制弾をアシストした。
「(ガーナの)前線にキープできる選手がいるんで、サンドするところだったりというのは意識していましたし、奪ってから前にスペースがあったんで、うまく運べた。(上田)綺世(フェイエノールト)君がすごく良い動き出しをして(DFを)釣ってくれたんで、そこ(南野)にパスを出すことができた。ゴールにつながって良かったです」と本人もしてやったりの表情を浮かべた。
佐野の場合、頭抜けたデュエルの迫力や対人の強さは誰もが認めるところだが、「縦への意識が足りない」「前選択のパスをうまくつけられない」と厳しい評価を受けることもあった。9月のアメリカ戦では1つのミスから自信を失うメンタル的な脆さも垣間見られた。が、10・11月と短期間で課題を克服。一気に成長速度を引き上げている印象だ。
堂安の1年5か月ぶりのゴールも加わり、結果的に日本はガーナを2-0で撃破したが、フル出場した佐野の圧巻パフォーマンスは見る者の目を引いた。文句なしのMVPだったと言っても過言ではないだろう。
「別に(自分の)地位が上がったとも思っていないですし、毎回の活動で課題が出るんで、それを自チームに帰って修正するという繰り返しで、どんどん成長していくかなと。これから先もそれは変わらないと思います」と本人は浮かれることはない。ただ、これだけの仕事ができるのなら、もはや「遠藤の代役」という位置づけではない。森保監督も主軸の1人と認めているに違いない。
思い返してみると、北中米ワールドカップ・アジア最終予選の頃は、遠藤と守田英正(スポルティング)が“鉄板ボランチ”と言われていた。けれども、佐野の急成長で遠藤との競争が激化したのは間違いない。
守田はご存じの通り、怪我続きで3月以降、代表に来ていない。ゲームコントロールに長けた守田の役割は、攻守両面に関与できる鎌田、組み立てに秀でる田中で回せるようになってきている。ガーナ戦で途中から出た藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)も若い選手メインの陣容の中、良い味を出していた。つまり、今の日本は“鉄板コンビ”に依存しない体制ができ上がりつつあるのだ。
もっと言えば、ブラジル戦以降、ボランチ陣のベストチョイスは「鎌田&佐野コンビ」になったという見方もできそうだ。この状況を遠藤はキャプテンとして前向きに受け止めているかもしれないが、多少なりとも焦燥感を抱いているのではないか。
そうやって絶対的と目されたメインプレーヤーの闘志に火がつけば、ポジション内の序列争いが加速し、「2チーム分、3チーム分の戦力」という理想に近づいていくはずだ。
11月18日のボリビア戦は「遠藤&鎌田コンビ」で行くだろう。代表経験が豊富な2人が、進境著しい佐野から刺激を受けて、どのような違いを見せてくれるのか。その動向を注視していきたいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
【画像】どこもかしこもデザイン刷新! 世界各国の北中米W杯“本大会用ユニホーム”を一挙公開!
【画像】あの時、君は若かった…厳選写真で振り返るレジェンドたちの“ビフォーアフター”(国内編)
【記事】「イタリアはポット1」「ドイツがポット2に降格」北中米W杯ポット分け、“一部変更”の可能性を海外報道。韓国がポット3転落の危機で韓メディアは唖然「青天の霹靂」「夢が打ち砕かれる」
