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『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)2』レビュー 進化した“論理的アクション”と、子どもの考えを甘く見ない物語

『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)2』レビュー 進化した“論理的アクション”と、子どもの考えを甘く見ない物語

 中国のアニメ映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)2 ぼくらが望む未来』が11月7日より公開中だ。

 本作は2019年に公開され口コミで話題となり、2020年に拡大公開された日本語吹き替え版がロングランヒットを記録した『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』の続編。花澤香菜や宮野真守など豪華声優陣が続投した他、新たに悠木碧が参加している。

 結論から申し上げれば、素晴らしい続編だった。とにかく言えるのは「劇場で見てほしい」ということ。そして、前作が好きだった人にとっては「これが見たかった」が詰まっていること。

 それでいて、前作を見ていなくても、老若男女が分け隔てなく楽しめる内容だ。アニメとしての圧倒的なクオリティーと、現実にもある問題を鋭く描いた物語の奥深さが伝わることも、間違いないだろう。ここからは内容に触れながらも、決定的なネタバレのない範囲で、3つに分けて魅力を記していこう。

1:探偵もの×シャオヘイがかわいい(最重要)×クーデレな姉弟子も推せる

 物語は前作の出来事から2年後、黒猫の妖精のシャオヘイ(声:花澤香菜)は師匠のムゲン(声:宮野真守)と共に小さな村で穏やかな日々を過ごしていたのだが、とある会館への襲撃事件が発生し、ムゲンはその容疑者となってしまう。ムゲンの潔白を証明するため、シャオヘイは姉弟子のルーイエ(声:悠木碧)と共に行動を起こす。

 「クールな大人と利発な子どもの大冒険」が前作からあった分かりやすい魅力であるし、今回はそこに事件の捜査をして真犯人を見つけようとする「探偵もの」の面白さが付け加えられている。ルーイエが率先してあらゆる場所に移動して証拠を探し、同行するシャオヘイの能力により捜査が進展する様子にもワクワクさせられる。

 とはいえ、本格的に謎を推理するというわけでもなく、あくまでルーイエとシャオヘイという凸凹コンビの冒険の面白さのほうに主眼を置いている。何より、寡黙&おしゃべりなキャラによるバディものかつ、寡黙側がやや猪突猛進で危なかしくって、おしゃべり側が無邪気のようで実は知的という関係こそが推せるのだ(それは、くしくも同日公開されている『プレデター:バッドランド』もだいたい同じだったりする)。

 それに付随して、前作から少し成長したシャオヘイの愛らしさが、とてつもないことになっていた。丸っこくてぷにっとした質感の絵から悶絶必至であるし、冒頭では(前作では険悪だったこともあった)師匠のムゲンと修行をしつつ仲良く暮らしている姿からして微笑ましい。

 いや、「あんなに小さくてこまっしゃくれたシャオヘイがこんなに立派になって……それでいてかわいさは据え置きどころか凶悪化しているじゃないか……」という感慨でいっぱいになり、ここで早くも涙を流したのである。その後のシャオヘイがごはんをおいしそうにパクパクと食べるような場面でも、その1つ1つに「この世にこれ以上の幸せな光景があるのだろうか」となった。

 さらに、新キャラクターのルーイエもとても推せる。彼女は初めこそ、口数が少ない一方で挑発的な物言いをしたり、シャオヘイに強く当たっていたりするのだが、そのシャオへイのお腹の空き具合をおもんばかったりする優しさが垣間見える。そのこともあって、シャオヘイはルーイエを「師匠に似てる、第一印象最悪ないい人!」と表し、次第に信頼を寄せていくのだ。

 もっといえば、彼女は割合が「クール:デレ=9:1」のクーデレであり、悠木碧の声と演技が醸し出すカッコいい女性としての魅力も極限まで高まっていた。さらに、ルーイエのセリフがないシーンでも、彼女の人柄が伝わってくる、細やかで丁寧なキャラクター描写にもぜひ注目してほしい。

 また、前作の準主人公であったムゲンは、今回は襲撃事件の容疑者であるため身動きが取れず、物語の蚊帳の外に置かれているようでもある。しかし、実際は執行人のナタ(水瀬いのり)と一緒にゲームで遊んでいる姿だけでも微笑ましいし、後半からは笑ってしまうほどに凄まじい戦闘力を発揮した見せ場も用意されている。

 さらに、ルーイエとの冒険の道中でも、シャオヘイが「ムゲンへの態度」を見せるシーンも大笑いできるので、そちらも楽しみにしてほしい。

2:「目にも止まらないけど論理的」なアクション描写がさらに進化

 前作で絶賛を浴びたのは、なんといってもアクション描写。2Dの作画をベースとしながらも「空間」を意識した画作りかつ、とんでもない距離を一瞬で移動したり、はるか彼方へと吹っ飛ばしたりと、日本のアニメ、特に『NARUTO -ナルト-』や『ドラゴンボール』を思わせるハイスピードバトルが展開していた。そして、続編である今回は、「見たことがないアクションってこの世にまだ存在していたんだ……!」という驚きで、これまた涙を流す瞬間すらあったのだ。

 MTJJ監督(今作クレジットでは「木頭監督」と表記)は前作のアクションについて、「普通に見ていると目にも止まらない速度のアクションですが、詳しく見るとキチンと論理的な戦闘をしている」ことをアクション表現の目標に挙げていた。

 それでいて、「次はもっと注意しつつ、いろいろな組み合わせを試してみたいと思います」とも語っていた。(※以上のMTJJの発言はラジオ番組『アフター6ジャンクション』鬼滅もいいけどロシャオもね!『羅小黒戦記 僕が選ぶ未来』総力特集より引用)

 前作から続くこの恐ろしいまでの試行錯誤が身を結んだためか、今作ではアクションのアイデアそのものがさらなる進化を遂げており、それぞれが「目にも止まらない論理的アクション」となっていたのだ。

 これから見る人の楽しみを削ぎたくはないので詳細は記さないでおくが、特に中盤の「旅客機を舞台にしたアクション」と、クライマックスの「集団戦&ラスボス戦」は心からの拍手喝采を送りたくなった。前作の美点(アクション部分)をさらにパワーアップするタイプの続編としても、ひとつの理想形だろう。

 さらに、今回の『羅小黒戦記2』のパンフレットで共同監督を務めた顧傑監督は、「今回は第1作がクオリティの最低ラインでしたが、次回を作るときは本作が、最低ラインになります」と語っていた。

 キャラの魅力も、アクションも、後述する物語も、今回で最上級まで高まった印象さえあるのだが、次回はこれが最低クオリティとまで宣言する覚悟は、もはや恐ろしい。パンフレットではその旅客機のアクションも含め、監督をはじめとするスタッフの工夫や苦労も語られているので、ぜひ読んでみてほしい。

配信元: ねとらぼ

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