マッサージ効果のメカニズムが医学に革命を起こすかもしれない

今回の研究で、マッサージは役目を終えた炎症因子を洗い流すことで筋肉の再生速度を改善することが示されました。
また炎症因子の洗い流しを行うのは、筋肉損傷から3日目以降が理想的であることも判明します。
ただこれらの結果は現在、マウスに限られています。
研究者たちは今後、より大きな動物に対して同様の実験を行うことで、マッサージの分子レベル・細胞レベルでの治療効果を検証し、最終的には、人間に対してテストすることを目指すとのこと。
マッサージによる治療効果は、既存の化学療法や遺伝子療法と同じくらい強力である可能性があり、人間での検証が成功すれば、科学にもとづく医療行為として完全な地位が認められるでしょう。
またマッサージによる治療効果から知識をフィードバックすることで、刺激がむずかしい消化器官や脳などに対しても、新概念の薬が開発されるかもしれません。
マッサージの夜明けが迫っています。
参考文献
Massage doesn’t just make muscles feel better, it makes them heal faster and stronger
https://wyss.harvard.edu/news/massage-doesnt-just-make-muscles-feel-better-it-makes-them-heal-faster-and-stronger/
元論文
Skeletal muscle regeneration with robotic actuation–mediated clearance of neutrophils
https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.abe8868
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

