魚住 肥後さんの「頼る力」を花開かせてくれたのは、メンバーの寺門ジモンさんと上島竜兵さんだったそうですね。
肥後 3人のバランスがよかったんだと思います。寺門さんはこだわりの強いタイプで、グループの推進力を担ってくれました。上島さんは人の懐に入っていくのがうまかった。距離感が絶妙で、偉い人を見つけたらすぐに抱きつく。そのあたりの嗅覚はすごかったですよ(笑)。
魚住 あの笑顔ですし、上島さんは本当に愛されていたんですね。ところで、本には上島さんの名前を冠にした太田プロ所属芸人の集まり「竜兵会」のことも書かれています。有吉さんが芸能人にアダ名を付ける“アダ名芸”は、この会から生まれたとか。
肥後 00年頃、番組終了後にみんなで飲みに行ったのがきっかけなんですけど、有吉さんが即興でアダ名をつけ始めた。ちなみに僕は「しぼりカス」で、土田晃之さんは「理屈しゃくれ」でした。有吉さんのアダ名芸がそういう遊びの場から生まれたことは確かですね。
魚住 遊びから何かが生まれるというのは、芸人さんならではだと思いますけど、一般の方たちも、生きていくうえで何かヒントが隠されているような気もします。
肥後 やっぱり大事なのはコミュニケーションでしょうね。雑談の中に何かヒントが転がっているかもしれない。別に「何か見つけるぞ」って意気込む必要はないんです。気になることがあれば、何となく記憶しておく。それが後に役に立つかもしれません。
魚住 あと「本当に思ったことしか言わないようにしている」って書かれていらしたのも印象的でした。
肥後 例えば、話のきっかけを作りたいからといって思ってもいないことを言うと、お互い途中で「ん?」っていう感じになるじゃないですか。
魚住 うわべだけで話していることは、相手にも何となく伝わりますからね。
肥後 そう。だから仮に番組を見て、本当におもしろかったらそのポイントを伝えるけど、そうじゃない場合は「見たよ」とだけ言うようにしています。
ゲスト:肥後克広(ひご・かつひろ)1963年、沖縄県生まれ。85年にお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」を結成。テレビ番組「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」(日本テレビ系)出演を機に一躍人気者に。93年に新語・流行語大賞の大衆部門で銀賞を受賞した「聞いてないよォ」をはじめ、さまざまなギャグやパフォーマンスで人気を確立。役者としても活躍中。
聞き手:魚住りえ(うおずみ・りえ)大阪府生まれ、広島県育ち。慶応義塾大学文学部卒。1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。報道、バラエティー、情報番組などで幅広く活躍。04年に独立し、フリーアナウンサーとして芸能活動をスタート。30年にわたるアナウンスメント技術を生かした「魚住式スピーチメソッド」を確立し、現在はボイス・スピーチデザイナーとしても活躍中。

