
若手トリオが挑むサバイバル。北中米W杯メンバーに滑り込むために。北野、後藤、佐藤はボリビア戦で爪痕を残せるか
キャプテンマークを巻いた南野拓実(モナコ)と、背番号10・堂安律(フランクフルト)の得点で、北中米ワールドカップ出場国のガーナを2-0で撃破した日本代表。一夜明けた11月15日から、18日のボリビア戦に向けて準備に入った。
この日はガーナ戦のスタメン11人が室内で調整し、それ以外の15人がピッチでトレーニングを実施。ガーナ戦で出番のなかったキャプテンの遠藤航(リバプール)や板倉滉(アヤックス)らが強度の高いメニューをこなした。
ガーナ戦で75分から途中出場した北野颯太(ザルツブルク)と後藤啓介(シント=トロイデン)、82分からピッチに立った佐藤龍之介(岡山)の“19・20・21歳トリオ”は、短時間ながらも前線のトライアングルを形成。2点リードの終盤ということで、試合をクローズさせることが最優先課題だった。
それを頭に入れたうえで、彼らは自身の存在感を示すべく、ギラギラ感を前面に押し出そうとしていた。
「“何が何でも”っていう気持ちが3人とも強かったし、特に俺と啓介はそうだった。でも、試合展開的にも後ろは行かんといてほしかったと思う。守備のところで、(藤田譲瑠)チマ君(ザンクトパウリ)から『行くな、行くな』と言われていたのが聞こえていました。でも自分は行きたい気持ちが強かった。『今日は仕方ないね』という話を3人でしました」と、北野は振り返る。
チームの勝利のために、守備のリスクマネジメントに比重を置くのは大切だが、若い選手が貪欲に結果にこだわるのは前向きなこと。南野も「20歳くらいの攻撃陣のフレッシュさはチームに良い勢いを与えてくれる。僕らもそれを受け取ってやっていけばいい」とポジティブに受け止めていた。
ただ、残念だったのは、3人揃ってシュートがゼロ本に終わったこと。85分には、佐野海舟(マインツ)のクサビのボールを後藤が受け、タメを作って佐藤にシュートを打たせようとした好機があったが、惜しくもボールがズレてフィニッシュできなかった。
「落としもうまくできたし、あとはコミュニケーションや連係の共有だと思う。一緒にやった回数が多いわけじゃないので」と後藤は話したが、すり合わせる時間が限られているのが代表の難しさでもある。
コアメンバーの南野や鎌田大地(クリスタル・パレス)、堂安、久保建英(レアル・ソシエダ)らは第一次森保ジャパン時代から7~8年がかりで関係性を構築。阿吽の呼吸が出来上がっている。そこに新戦力が割って入るのは、やはりハードルが高い。北野や後藤らはゴールやアシストという目に見える結果を残さければいけないのだから、W杯行きの道がどれだけ厳しいかよく分かるだろう。
森保一監督は北中米W杯の出場権獲得後の6月シリーズから、鈴木淳之介(コペンハーゲン)や藤田らパリ世代以降の若手を次々と招集。久保を除く2001年生まれ以降の選手の招集数は、6~11月の4回の活動で17人に上っている。そのなかで完全に滑り込んだと言えるのは、大躍進中の鈴木淳くらいで、藤田でさえも守田英正(スポルティング)の動向次第では黄信号が灯るかもしれない。
その他では、今季にドイツのブンデスリーガ1部参戦を果たした鈴木唯人(フライブルク)は複数回、呼ばれながら、まだ定着できていない。細谷真大(柏)や望月ヘンリー海輝(町田)、佐野航大(NEC)にしても同様だ。
こうした面々との競争もありながら、北野、後藤、佐藤は這い上がっていかなければいけない立場。それでも、鈴木淳のように何かのきっかけで劇的な変貌を遂げる可能性は十分にあり得る。だからこそ、次のボリビア戦ではガーナ戦を糧にして、目覚ましい前進を示すべきなのだ。
「(前から)行くべきか、行かないかの判断に関しては反省点でもありますし、もうちょい冷静になれたら良かった。でも次の試合からはできるんじゃないですかね」と北野は強気の姿勢を示す。
そのうえで、「シャドーは競争の激しいポジション。自分で立場を勝ち取っていかないといけないと思うんで、やっぱり得点、アシストというのは必須になると思います」とも強調。同じ年代でA代表入りして、地位を勝ち得た香川真司、南野というセレッソ大阪の先輩たちの系譜を継いでいく構えだ。
佐藤にしても「ボリビア戦で決めれば代表最年少得点? そこはメッチャ狙っていきたいと思います」と目をギラつかせる。後藤も「次こそは」と考えているはずだが、成長途上の彼らに失うものは何もない。積極果敢にチャレンジすればいいだけだ。
森保監督がトライしている若手の絞り込み作業も、おそらく11月シリーズで最後となる。来年の3月シリーズはW杯に連れていく若手だけを呼ぶのではないか。目下、怪我で離脱中の伊東純也(ヘンク)や三笘薫(ブライトン)が復帰すれば、ますますアタッカー陣の枠は狭くなる。それを承知で“19・20・21歳トリオ”には捨て身でぶつかってほしいところだ。果たして誰が抜け出すのか。ボリビア戦ではその一挙手一投足を冷静に見極めたいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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