![[本田泰人の眼]不変のキックモーション。だから敵は読めない。ガーナ戦で2点目を奪った堂安律。一流選手であることを証明した](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/185/2025/11/1763276769742_8e3wzid9sd8.jpg?maxwidth=800)
[本田泰人の眼]不変のキックモーション。だから敵は読めない。ガーナ戦で2点目を奪った堂安律。一流選手であることを証明した
11月14日、FIFAランキングで19位の日本は、同73位のガーナとの国際親善試合で、2-0の快勝を収めた。
試合はFIFAランキングどおり、日本のワンサイドゲームとなった。攻撃では上田綺世を起点にガーナの2倍もの14本のシュートを放ち、守備では強度の高いプレスを維持してガーナのビルドアップを封殺する。
ゴールを奪った時間帯も良かった。16分、ハーフウェーライン付近で佐野海舟がボール奪取に絡み、ゴール前までドリブルで持ち運ぶ。佐野のラストパスから南野拓実が正確なシュートでネットを揺らす。日本の得意の形、ショートカウンターからの見事な先制点だった。
その後も日本の勢いは止まらない。追加点こそ奪えなかったものの、久保建英、堂安律のコンビネーションから何度もチャンスを作り出した。
2点目は60分、久保と堂安とのコンビから生まれた。久保のパスをボックス内右で受けた堂安が左足を振り抜き、ニアサイドに突き刺した。
その後、日本は6枚の交代カードを切った。北野颯太、後藤啓介が代表デビューを飾るなか、危なげない試合運びで試合を終わらせた。
もっとも、忘れてはいけないのは、対戦相手のガーナが今回はあまりにも弱すぎたことだ。
モハメド・クドゥスやジョーダン・アユーなど、先月のワールドカップ・アフリカ予選に出場した主力数人が不在だったこともあるが、時差ぼけや長距離移動が影響し、コンディションが万全ではなかったのではないか。
プレーのキレを欠いてしまったら、スピードとパワーに優れるアフリカ人選手の怖さは半減する。
試合後、森保一監督は「個が強い相手が組織的に守備を固めてきた時に、どうやって崩すのか、ワールドカップへ良い準備になった」と話したが、果たして強化試合になったのか。
確かに、立ち上がりからガーナは5バックで引いて守ってきたが、ゴール前に人数をかけているだけ。組織的守備にはほど遠いレベルだった。攻撃ももっと前に出てきてくれないと、練習相手にすらならない。
来年からワールドカップ出場国は「32」から「48」に増えるため、いわゆる“格下”と対戦する可能性は十分に考えられる。その意味では格下との戦いのシミュレーションになったものの、これでは強化試合ではなく調整試合だ。
ただ、調整試合とはいえ収穫はある。一つは異彩を放っていた佐野のパフォーマンスだ。
先制点の起点になったほか、彼のインターセプト能力、球際の強さ、ボールを奪ったあとの推進力など、両チーム合わせても出色の働きだった。文句なしのMVPだ。
ボランチは特に主力の怪我やコンディション不良が相次ぐだけに、佐野の存在感が増してきたことは、代表チームにとってポジティブな収穫だ。
守田英正や遠藤航が怪我などでコンディションが上がり切っていないなか、現在のボランチの序列は佐野が一番手になったと言えるだろう。
佐野の魅力は、デュエルの強さだけではなく、スタミナも持ち合わせた、タフさにある。ガーナ戦ではフル出場したが、次節のボリビア戦でもフル出場できるはずだ。
森保監督はボランチで遠藤&鎌田大地の2人を選ぶ可能性が高いが、佐野&遠藤は、チームの守備力を最も高める組み合わせ。強豪チームとの対戦を見据えてフィットさせておきたい。
ガーナ戦のもう一つの収穫は、堂安だ。左足で決めたチーム2点目は、彼が一流選手であることを証明してみせた。
この日、堂安がペナルティエリア内でボールを受けたのは、おそらくこの得点シーンの1回だけだったはずだが、ワンチャンスをモノにする勝負強さもさることながら、あのキックモーションにこそ堂安の魅力が詰まっていた。
堂安の蹴り方は、いつも同じモーションだ。だから相手ディフェンダーやゴールキーパーからすると、ニアサイドに来るのか、ファーサイドに来るか読みづらい。
久保や中村俊輔にも同じことが言えるのだが、シュートを打つ時、パスを出す時はいつも同じ蹴り方だ。
モーション、入り方、角度、身体の向き、頭の位置...。それが一つでも違うと、敵にバレてしまう。すべて一緒なのが一流選手であり、ゴールを決められる選手の共通点として挙げられる。
堂安の得点では、何気ないシュートに見えたかもしれないが、ニアでもファーでも決められるのは、こうした背景があるからだ。
ガーナ戦で途中出場した選手のパフォーマンスに関しては、個人的には不満だ。
2点をリードしてから、68分に菅原由勢と藤田譲瑠チマ、75分に安藤智哉、北野、後藤、82分に佐藤龍之介がピッチに送り出されたが、どの選手も無難なプレーに終始して、インパクトを残せなかったのは残念だった。もっと堂安や久保のようにギラギラしたものを見せてほしい。
次の相手は南米のボリビア。要求したいのは、ガーナ戦の1点目のようなシーンを多く作り出すことだ。守備の準備と予測をし、一気のショートカウンターを意図的にどんどん狙ってほしい。
ボールを奪った瞬間、全選手の矢印が相手のゴールに向かい、一気にフィニッシュまで持っていく。守備から攻撃への素早いスイッチは、ワールドカップ本番での強豪国との試合でも必ず生きてくるはずだ。
なお、本田泰人氏のガーナ戦の採点は以下のとおり。
■先発
GK
1早川友基 6.0
DF
3谷口彰悟6.0
5渡辺 剛 6.0
25鈴木淳之介 6.0
MF
17田中 碧 5.5(▼68分)
21佐野海舟 7.0
10堂安 律 6.5(▼68分)
13中村敬斗 6.5(▼82分)
8南野拓実 6.5(▼75分)
20久保建英 6.5(▼75分)
FW
18上田綺世 6.5(▼75分)
■途中出場
MF 2菅原由勢5.5(△68分)
MF 7藤田譲瑠チマ6.0(△68分)
MF 24北野颯太 5.5 (△75分)
MF 16安藤智哉 5.5(△75分)
FW 26後藤啓介 6.0(△75分)
MF 14佐藤龍之介 -(△82分)
監督:森保 一 6.5
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
【著者プロフィール】
本田泰人(ほんだ・やすと)/1969年6月25日生まれ、福岡県出身。帝京高―本田技研―鹿島。日本代表29試合・1得点。J1通算328試合・4得点。現役時代は鹿島のキャプテンを務め、強烈なリーダーシップとハードなプレースタイルで“常勝軍団”の礎を築く。2000年の三冠など多くのタイトル獲得に貢献した。2006年の引退後は、解説者や指導者として幅広く活動中。スポーツ振興団体『FOOT FIELD JAPAN』代表。
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