バクー市街地サーキットで開催されたF1アゼルバイジャンGP決勝では、ウイリアムズのカルロス・サインツJr.が3位表彰台を獲得。チーム代表を務めるジェームス・ボウルズは、ドライバーの働きを称賛すると共に、ウイリアムズ全体の成長が形になったと語った。
メルセデスで戦略主任を務めたボウルズは、2023年からウイリアムズにチーム代表として加入。80年代、90年代に一時代を築きながらも、ここ10年の間には底辺も経験した名門チームの再生を担い、組織変革を続けてきた。
ボウルズ代表にとってサインツJr.のアゼルバイジャンGP決勝3位は、自身がチームで指揮を取ってから初めての表彰台。その組織づくりに間違いがなかったという証明にもなった。
「キャリアで何度か表彰台を獲得する幸運に恵まれてきたが、これは永遠に記憶に残る表彰台だ」
ソーシャルメディアを通じてボウルズ代表はそう語った。
「これはチーム全体で勝ち取った成果だ。ここ数年は下位に沈み、生き残りをかけて戦ってきたチームが、今こうしてこの位置まで戦い抜いたのだ」
サインツJr.はレッドブルのマックス・フェルスタッペンと並んで2番グリッドからスタート。序盤はポジションを維持していたものの、28周目にピットでタイヤを交換した後メルセデスのジョージ・ラッセルに先行を許し、3位でのチェッカーとなった。
「カルロスは驚異的なレースを展開した。スタートからフィニッシュまで卓越したドライビングで見る者を魅了した」とボウルズ代表は続けた。
「彼にとってこの表彰台がどれほど大きな意味を持つのか、目と耳で感じ取れたはずだ。私はポジティブな勢いを信じている。この表彰台がカルロスにとって確かな基盤となるだろう」
ウイリアムズにとって今回の表彰台は、大雨で実質的なレースが行なわれなかった2021年ベルギーGPでラッセルが手にして以来のもの。そしてサインツJr.にとっても大きな意味を持っている。
サインツJr.は、フェラーリがルイス・ハミルトンと契約を結んだことで、2024年限りで跳ね馬を追われ、今季からウイリアムズに加入。チームメイトのアレクサンダー・アルボンが上位フィニッシュを連発する中で、ミスや信頼性トラブルが重なりポイントを重ねられないでいた。
2024年シーズン最終戦アブダビGPでフェラーリドライバーとして最後の表彰台に登ったサインツJr.は、当時「未来を予測するのは不可能だし、僕とウイリアムズが表彰台争いに戻ってくるのにどれくらいかかるかは知ることもできない」と語っていた。
しかし2025年シーズンは既に、表彰台を狙えるだけのペースがウイリアムズにあったとサインツJr.は考えている。
「シーズン序盤から目指してきたのは、完璧な週末を過ごすことだった。でもシーズンを通じて浮き沈みが激しく、良い時よりも悪い時の方がずっと多かった。不運だったこともあるし、僕自身の力やあるいは他の要因でうまくいかなかったこともあった。でも、最初からチームには、表彰台を争うチャンスが訪れた時には、何も問題を起こさず、自分たちがやっていることを皆に証明すれば大丈夫だと言ってきたんだ」とサインツJr.は言う。
「今回は2番グリッドからスタートするというチャンスだった。おそらく昨日の段階で尋ねたら、多くの人が『表彰台を獲得できる』とは思っていなかったはずだ。でも今年はペースこそあったけど、それを発揮する機会があまりなかっただけ……今日は良いペースを維持する絶好の機会があり、それで表彰台を手にすることができたんだ」
奇しくもフェラーリでサインツJr.の後任を務めるハミルトンは、未だ決勝レースでの表彰台がない。アゼルバイジャンGPでもフェラーリは8位、9位に留まった。

