新生レアル・マドリーの起爆剤として活躍し、その驚異的な適応力を称賛されていたディーン・ハイセン、アルバロ・カレーラス、フランコ・マスタントゥオーノの3人のニューフェイスが、新シーズンが進むにつれて、三者三様の浮き沈みを経験している。いずれも共通しているのは、高額移籍金で加入した若手である点。それだけ重圧のかかる状況に置かれているからこそ3人の適応ぶりは特筆に値した。
カレーラスにとって最初の挫折となったのが、アトレティコとのダービー戦だ。マッチアップしたジュリアーノ・シメオネに左サイドを支配され、辛辣な批判を浴びた。しかしその後の強豪との対戦ではラミン・ヤマル(バルセロナ)とモハメド・サラー(リバプール)をそれぞれ完璧に封じるなど、1対1の守備力の高さを発揮。再び持ち直している。
「瞬時に状況を把握しながら、積極的にボールに絡む。派手さはないが、早くからシャビ・アロンソ監督の信頼を勝ち取ったのもコンプリートな選手だ」とフリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏が評価する攻撃力の高さも武器に、完全に左SBのポジションを手中に収めている。
アトレティコ戦でそのカレーラスとともに左サイドに陣取り、クロス対応の甘さを見せたハイセンもまた試合後、厳しく叩かれた。ただ彼の場合は、クラブワールドカップのボルシア・ドルトムント戦、ラ・リーガのレアル・ソシエダ戦で一発退場処分を受けるなど、その前から危うさを垣間見せていた。現地では大一番でその傾向が強いという意見が多く、10日前のチャンピオンズリーグ(CL)リバプール戦でも軽率なボールロストを繰り返した。
とはいえ、ハイセンのその才能は折り紙付きだ。とりわけ加入以来、中盤の選手顔負けの配給力が高く評価されているが、フリージャーナリストのセグロラ氏は「優れた資質と拙い判断、そして時折露呈する守備の軽さが入り混じっている」と苦言を呈する。 一方、『ラジオ・マルカ』の人気MC、ミゲル・キンターナ氏は「その過剰な自信と楽観的なところが、マドリーに多くの問題を引き起こしている」と精神的な未熟さを問題視する。マドリーの前監督、カルロ・アンチェロッティはかつてナチョ(現アル・カーディシーヤ)を称賛する際に、悲観的なところが集中力の高さに繋がっていると述べていたが、その見解は逆説的に今のハイセンに足りないものを示唆している。
加入5日目にデビューし、以後ポジションを獲得したマスタントゥオーノも試練の時を迎えている。際立っていたのが、シャビ・アロンソ監督が重視する即時奪回を率先して実践した守備の献身性だ。さらに攻撃でもボールを早くさばいてリズムを作り出していた。
しかし次第に「シャビ・アロンソ監督の固執は無駄な努力だ。20分間、生産的なプレーを見せた経験がない」とスペイン紙『AS』の元編集長、アルフレッド・レラーニョ氏が痛烈に斬り、ここまで1得点1アシストと数字が裏付けるフィニッシュに絡む働きの少なさをクローズアップされるようになり、ベリンガムの故障からの復帰や中盤4枚のシステム採用も重なり、CLユベントス戦やバルセロナとのクラシコではスタメンを外された。
その最中に恥骨を痛め、11月の代表ウィークによる中断前の直近2試合、CLリバプール戦とラージョ・バジェカーノ戦を欠場した。もっとも『AS』は「負傷前の出場機会の減少はクラブ内では成長過程の一部として、自然に受け止められている。懸念は全くない」と伝えている。そしてその挫折に対する見解はまたカレーラスとハイセンにも当てはまる側面である。
文●下村正幸
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