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スノーウエアの選び方 ’25ー26 | 理想の一着を手に入れるために知っておきたい機能と構造

生地構造を理解する ― 3レイヤー(3L)・2レイヤー(2L)の違い

スノーウエアの個性や特徴、性能を決める要素として、生地構造と防水透湿膜(メンブレン)も極めて重要だ。

表地と裏地の間にメンブレンを挟み込んだ3層構造は、「3レイヤー」。「3L」という表現が商品名に含まれているモデルをよく見るだろう。3レイヤーは裏地がメンブレンを保護するため耐久性が高く、過酷な自然条件下で活動するバックカントリー滑走により適している。

裏地がなく、表地とメンブレンだけで構成されている「2レイヤー」は軽量でしなやか、通気性に優れる。

3レイヤーは裏地によってメンブレンを保護できるため、耐久性を向上させることができるほか、裏地によってすべりが良くなることで、快適な着心地をもたらしてくれる。2レイヤーは裏地がないぶん透湿性が高くなり通気性に優れ、しなやかで重量を抑えることができる。こうした特徴をいかしながら、コンセプトに沿った構造が採用されている。

表地の機能的役割

ウエアの骨格ともいえる部分で、雪や雨を弾き、頑強さを保持し、ウエアの形や色を整える。素材は化学繊維がほとんどであり、ナイロン系の素材が多用される。ナイロンの摩擦に強く、弾力があってしなやかという特性がスキーウエアにぴったりだからだ。

裏地の機能的役割

ウエアの中に着ているものとの滑りをよくして動きやすさを確保する他、汗を吸収することで快適性や着心地を向上させている。また保温性を備えた裏地を使うことで防寒性を高めている製品もある。

中綿の入ったものも

ウエアには保温性を高めるため、中綿を封入しているものもある。多くは雪や汗に備えて、湿気に強い化学繊維の中綿が使われている。またウエアによっては滑走中の風を受けて冷えやすい身体の前側に重点的に中綿を入れるなど、体温の分布に応じて保温性を調整しているものもある。

防水透湿素材(メンブレン)の機能

メンブレンとは、表地と裏地の間に挟まれた「防水透湿膜」。1㎠あたり十数億もの微細孔を持ち、水滴は通さず水蒸気だけを外に逃がす仕組みで、そのミクロな孔構造が高い防水性や透湿性、防風性を生み出している。近年のスノーウエアは、ほとんどがメンブレンを挟み込んでいる。

透湿性とは、衣服内の湿気を外に逃がす性能のこと。水蒸気を外に逃がす性能のこと。雪山での雨雪などによる外部からの水分はシャットするが、ウエアの内部で汗をかいて蒸気になった湿気は外に逃がすことで、内部をドライに保ちでムレずに済む、というわけだ。具体的には、衣服内の水滴にならない蒸気状態の水分を24時間で何グラム外に出すか、数値で表す。もちろん値が高いほど透湿性は高い。

透湿性によって快適なコンディションを維持できるかは、雪山での登りや滑りのパフォーマンスにも大きな影響を与える。よってスノーウエアにおいてメンブレンはとても重要な意味を持つ。メンブレンの特徴を把握しておけば、そのスノーウエアがどのような用途に向けて作られているのか、より深く理解することができる。

メンブレンにもいろいろな種類があり、それぞれに特徴を持っている。最も有名なものはGORE-TEX(ゴアテックス)だろう。スノーウエアで最も信頼されている防水透湿素材で、極小の孔を持つ特殊なメンブレン構造により、雨や雪などの水は通さず、汗の水蒸気だけを外へ逃がす。そのため濡れにくさと蒸れにくさを両立。

GORE-TEXメンブレン 提供:日本ゴア合同会社

そのなかでもハイエンドに位置する「GORE-TEX PRO」は、高い耐久性と透湿性を両立し、過酷な雪山環境でも体を快適に保つため、プロガイドやバックカントリー愛好者に長年支持されてきた。

その他、NeoShell(ネオシェル)やeVent(イーベント)なども知られている。国産ではTeton Bros. の「Täsmä」はブランド独自のメンブレンとして世界的評価を得ている。

GORE-TEX ePEの登場

スノーウエアの今季の大きな注目は、GORE-TEXが発表した新世代メンブレン「ePE(expanded Polyethylene)の登場だ。従来の自然分解されにくく環境負荷が問題視されてきたePTFEに代わり、パーフルオロカーボン(PFC)を使わない環境配慮型素材として進化を遂げての誕生となった。

ePEは軽量でしなやか、しかも従来の防水透湿性能を維持している点が大きな特徴で、すでにNORRØNAやPatagonia、ARC’TERYXなどが採用モデルを展開している。機能性だけでなく「環境への責任」も備えた素材選びが、ウエア開発の新しい流れとなっているのだ。

レイヤリングという考え方

レイヤリングの仕組み 提供:モンベル

スノーウエアの快適性を語るうえで欠かせないのが「レイヤリング(重ね着)」の概念だ。肌に近いところから、「ベースレイヤー」、「ミドルレイヤー」、「アウターレイヤー」の3層の重ね着をするのがレイヤリングの基本。

  • ベースレイヤー(肌着)で汗を肌から離す
  • ミドルレイヤーで保温と吸湿拡散を行う
  • アウターレイヤー(シェル)で外部の雪や風を防ぐ

という三層構造。防水透湿性のシェルを活かすには、内側に吸湿性・速乾性の高いレイヤーを組み合わせることが不可欠だ。レイヤリングが機能しなければ、どんな高価なシェルも性能を発揮できない。つまり「防水透湿性」は単独で完結する性能ではなく、レイヤリングの仕組みの中で初めて本領を発揮するものなのだ。

レイヤリングは単に衣類を重ねて着るだけでなく、個々の層で発揮すべき特性に注目して素材や構造を選ぶことで実現する。

身体に近い1枚目は肌に汗を残さない素材のものを選ぶ。2枚目で蒸気になった汗を外気に放出するのが上着(アウタージャケット)の役目だ。スキーの場合、シェルジャケットがそれにあたる。しかし、汗は放出しても、雪や雨はさえぎりたい。こうした相反する機能を実現するのが、湿気だけ通して水は通さない「防水透湿性」なのだ。

つまり「防水透湿性」はレイヤリングという考え方の延長線上にある。防水透湿性をフルに発揮させるためにはレイヤリングが不可欠であり、防水透湿素材のウエアを着れば、それだけですべて解決! とはいかない。だからこの性能が必要なのだ。

配信元: STEEP

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