プラスして知っておきたい知識
防水性がわかる耐水圧

スノーウエアに必需の防水性をわかりやすく数値で表したものが耐水圧。つまり、耐水圧とは生地に染み込もうとする水の力を抑える性能の数値だ。
耐水圧の数値で「どのくらいの水の圧力に耐えられる防水性なのか」を知ることができるというわけ。当然、値が高いほうが防水性が高い。
一般的なナイロン製の雨傘の耐水圧が約200~500mm程度、しっかりしたレインコートなら耐水圧5,000mm程度。スノーウエアは、雨雪に長時間さらされる環境を考えると少なくとも耐水圧10,000mm以上ないと不安だろう。雪山でサンプルを着てから買うかを決められないウエア選びでは、耐水圧の数値は防水性の担保がとれる重要な情報だ。
生地の硬さの指標となるデニール

デニールは生地に使われている糸の重さを表しており、9000メートルあたりの数を数値にしたもの。カタログではこれが間接的に生地の厚みを表すことにつながっている。
一般的なウエアは70デニールから150デニールのものが目立つが、生地の硬さや着心地はデニール数だけで判断できるものではないことも知っておこう。
ウエアのカッティング(裁断)

どんなに高性能な素材を使っても、裁断が悪ければそのポテンシャルは半減する。肘や膝に立体裁断(3Dカッティング)を施したり、背中や脇にストレッチ性の高い素材を切り替えるなど、体の動きを阻害しない設計がポイント。動きやすさを追求するこうした工夫は、滑りの自由度や疲労感の軽減に直結する。
カタログを読み解くポイント
このようにウエアのパーツや生地の機能的役割がわかってくると、ウエアカタログに掲載されている情報の意味や重要性がよく理解できるようになり、スペックから自分の滑る環境に合ったウエアがイメージしやすくなる。NORRØNAのオンラインストアの商品情報をピックアップしてみよう。ウエアの機能面の表現を赤い文字にしてみた。
NORRØNA
tamok Gore-Tex Performance Shell Jacket

MATERIAL
Gore-Tex® 3-layer (ePE), 70D X 160D recycled nylon
Material 2nd:Gore-Tex® 3-layer (ePE), 200D recycled nylon
バックカントリーやパウダーライディングにフォーカスしたtamokシリーズのフラッグシップジャケットが、デザインはそのままに、素材を全面的に変更して生まれ変わりました。新たな素材は、GORE-TEX® ePEメンブレン。
GORE-TEX®の長い歴史のなかで、初めてメンブレンそのものを一新。定評ある防水透湿性、防風性、耐久性の高さを維持しつつ、環境負荷の軽減を実現した注目の素材です。
3レイヤーの表地はバックカントリーでタフに使える70×160デニールの100%リサイクルナイロンで、肩と肘にはさらに耐久性を高めた200デニールのリサイクルナイロンで補強されています。
裏地はしなやかなC-KNIT™ナイロンバッカー。メンブレンが変更になった結果、生地は若干薄く軽くなり、着心地も向上しています。長めの着丈は個性的なシルエットを演出しつつ、寒気のなかでも腰回りを保温。腕は立体裁断で動きを損うことはありません。
機能を理解すれば、理想の一着が見えてくる
こうして見てくると、スノーウエアのスペック表やカタログの用語は、単なる数字やテキストではなく、ウエアの「思想」を表していることがわかる。どんな環境で滑りたいのか、どんなスタイルを理想とするのか──それを明確にすれば、自分に必要な素材・構造・機能が自然と見えてくるのでは。
“GORE-TEX PRO ePE”のような最新素材や環境への配慮を掲げたブランドが増える今こそ、スペックの奥にあるストーリーにも興味を持ちたい。よく理解し、共感して選んだ一着は、単なる装備ではなく、雪山での信頼できる相棒になるだろう。
