「強化試合」と呼べるほど、歯ごたえのある相手ではなかった。
サッカー日本代表は11月14日、豊田スタジアムにアフリカの強豪ガーナ代表を迎えた。日本は立ち上がりから主導権を握り、前線からのプレッシャーをかけて、ガーナに攻撃の形を作らせない。すると16分、右サイドでボールを持ち上がった佐野海舟(FSVマインツ05)からのパスを南野拓実(ASモナコ)が冷静に決めて、日本が先制する。
後半に入っても、日本はスキを見せない。ガーナにチャンスらしいチャンスも作らせず、逆に60分、久保建英(レアル・ソシエダ)のパスを受けた堂安律(フランクフルト)が得意の右45度から技ありのシュートを決め、引き離した。その後はブラジル戦の勝利がまぐれではなかったことを証明するかのように、完璧な試合運びで2-0と逃げ切っている。
確かにガーナはチームの中心選手が、ケガやコンディション不良で招集できなかった。それでもアフリカ人特有の身体能力の高さや、球際の激しさは見られず。森保一監督は、思っていた以上にガーナのレベルが低いと思ったのだろう。後半途中から北野颯太(レッドブル・ザルツブルク)、後藤啓介(シント=トロイデン)と代表初招集の選手や、藤田譲瑠チマ(FCザンクトパウリ)、安藤智哉(アビスパ福岡)、佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)と、代表歴の少ない選手を、余裕をもって交代出場させている。
ただ、ガーナにシュートを5本しか打たせていない快勝なら、3点目、4点目を奪ってほしかった。
それでも収穫はあった。新戦力の発掘が目的だった9月、10月、11月の試合で、ボランチの佐野とDF鈴木淳之介(FCコペンハーゲン)は間違いなく、代表の新戦力となっている。
佐野はボール奪取能力に長けていて、遠藤航(リバプール)の後継者といわれている。運動量があり、ボールがあるところに必ず佐野がいる、と思ってもいい。これまで守備の評価は高いものの、攻撃力に課題があった。ところがガーナ戦ではボールを奪ったあとに、普通なら近くの選手に渡すのだが、ドリブルで運んで南野のゴールをアシストし、積極的に攻撃に絡んでいた。
鈴木も試合を重ねるたびに、評価を上げている。日本代表では3バックの左だが、FCコペンハーゲンでは3バックの右や、右サイドバックのポジションでプレーしている。ガーナ戦の終盤は、自身初という左ウイングバックでプレーした。最終ラインならどこでもできる、貴重な選手。どのポジションでも代表レベルでプレーできるはずだ。
ただ、W杯で優勝を目指すというのであれば、もっと強い相手と試合をしないと意味がないと思うのだが。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

