木村拓哉が嫌いだ。正確に言うと、キムタクが番宣でテレビに出てきた時の、こぞって有難がるテレビの「あの感じ」が嫌いなのだ。「あの木村拓哉さんがお出ましになりましたぁ!」という雰囲気を醸し出して、レジェンドだトップスターだと褒めちぎり、質問もどこか遠慮がち。ただただユルい質問でお茶を濁すのが通例だ。そういう番組を見ていると「キムタク、そんなに有難いか」と思ってしまう。
11月16日の「有働Times」(テレビ朝日系)がまさにそれだった。
「スペシャル対談企画。今回は『平成を抱いた男』と呼ばれるこの方です!」
有働のそんな紹介でVTRに切り替わると、レインボーブリッジと向こうにフジテレビの社屋が見渡せる、どこかの屋上が。画面には「都内某所」とあった。花束を後ろ手に持って、キムタクに近づく有働。
「53歳のお誕生日、おめでとうございま~す。「木村さんが屋上に立ってるだけで、ドラマ始まりそうだなって」
「始まらないです」
出演映画の宣伝がらみの企画は、そんなふうに「有難モード」で始まった。
過去のキリトリ映像がフラッシュで出てきて、そこにナレーションが入るのだが、
「圧倒的な存在感とそのカリスマ性。『平成を抱いた男』…人は彼をそう呼んだ」
またもや「平成を抱いた男」が出てきた。同じ平成を生きてきたが、キムタクがそんなことを言われているとは、ちっとも知らなんだ。イメージ的には、映画「愛と平成の色男」に主演し、「不倫は文化」の名言を生み出した男・石田純一の方がよっぽど「平成を抱いた男」のイメージが強いのだが…。すっかりないことにされている石田が不憫だ。もっとも、キムタク本人も有働に同じことを聞かれて即座に「抱いてない!」と否定していたが。
ほかにも、それまでのアイドルの概念を覆してきたと持ち上げ、そのひとつが28歳の時の結婚会見だった。芸能レポーターに囲まれて「結婚します」と発言したキムタク。「お相手は工藤静香さんですね」と聞かれて「それ以外に誰がいるんですか」と。さらに「おめでたという話も」には「事実です」と。そして「(会見を)やんない選択はないんじゃないですか。合わせる顔がないといったら変だけど、どこにも胸張れない気がするし」。
ここだけ見れば「なんと男気のある!」という話になるが、裏を返せばその時から、他のメンバーのことよりも自分が最優先のオレ様ぶりが伺える。あの頃からSMAPの綻びは始まっていたのかもしれない。
というわけで、今回もキムタク様のお話を有難くお伺いして一件落着。こうして、またキムタク伝説が作られていく。
まったく、テレビはいつまでこんなことをやっているのか。まだまだ続く「キムタク神話」に乗っかっておけば、自分たちもまだまだ安泰とでも思っているのか。こうしてテレビによる「キムタク接待」がしばらく続くのかと思うと、うんざりする。
なんと11月20日には、お気に入りの番組「秋山ロケの地図」(テレビ東京系)にキムタクが出てくるそうで、番宣を目にするたびに暗澹たる気持ちになる。ロバート秋山だけは、キムタクに媚びないと信じたいが…。
(堀江南/テレビソムリエ)

