補強の順番が変わってきた。プロ野球各球団のオフの補強といえば、ドラフト会議、トレード、外国人選手、FA、そして自由契約選手の獲得がある。ひと昔前までは、自由契約選手が最後に回されてきた。「予定していた補強に失敗した。トライアウト受験者に誰かいないか」という感じだったが、昨今では自由契約選手が最初に決まるケースが増えてきたのだ。
「各球団の編成担当スタッフは、2軍の試合もしっかりチェックしています。現役ドラフトで移籍した選手が活躍しており、『環境を変えてやれば覚醒する』の考えがより強くなりましたね」(在京球団スタッフ)
2022年に新たに始まった、現役ドラフトが成功したからだろう。各球団の担当者は「後半戦に1軍昇格がなかった」「ファームの遠征メンバーから外れた」など選手の動向も細かく追い、現役ドラフトで獲得可能な選手リストを予想するようになったそうだ。
その「予想リスト」から発展したとされるのが、阪神・島本浩也と日本ハム・伏見寅威の交換トレードだ。
「左の中継ぎ投手が欲しい日本ハムは、島本のリスト入りを予想していました。島本に興味を持つ球団が他にもあったため『だったらトレードで』という流れになったそうです」(前出・在京球団スタッフ)
この左腕リリーバーの補強については、疑問の声も上がる。日本ハムは左腕の北浦竜次に戦力外を通告。昨年は開幕1軍メンバーに選ばれたものの、その後、2軍で調整していた。今季は育成での再スタートとなったが、イースタン・リーグ後半戦では150キロ超えの直球が蘇った。「トレードで左投手を獲るよりも、北浦にチャンスを与えてやればいいのに」というものだ。その後、北浦は巨人が支配下契約で獲得している。こちらも、巨人が現役ドラフトで北浦を狙っていたのではないか、と勘繰る向きが…。巨人の評価を聞いた日本ハム側が「自由な立場で交渉できるように」と、あえて戦力外にしたとも考えられる。
前出の在京球団スタッフは、こうも言う。
「外国人選手の立ち位置が変わってきました。野手ではクリーンアップを予定して獲得しても、日本の投手レベルが上がり、好成績を残せないケースが増えてきたのです。今年の日本シリーズでは、スターティングオーダーに外国人選手がいない試合がありましたね」
外国人選手に高い年俸を払うよりも、伸び悩んでいる選手の環境を変えてやる。その方が覚醒の可能性は高く、なおかつ「オトク」だというわけだ。プロ野球界の補強スタイルは、やはり変わってきたといえる。
(飯山満/スポーツライター)

