現地時間9月19日(日本時間20日)、イマン・シャンパート(元ニューヨーク・ニックスほか)がホストを務めるポッドキャスト番組『All In』の最新回が公開。メンフィス・グリズリーズのレジェンドで、永久欠番にもなっているザック・ランドルフ(50番)とトニー・アレン(9番)がゲストで出演した。
PF(パワーフォワード)のランドルフはNBAキャリア17シーズンのうち、8シーズンをグリズリーズでプレー。ウイングの守備巧者アレンはキャリア14シーズンをプレーし、グリズリーズに7シーズン所属。両者は2010-11~16-17シーズンまで、7年間ともに戦ってきた。
当時のチームはセンターにマルク・ガソル、ポイントガードにマイク・コンリー(現ミネソタ・ティンバーウルブズ)を擁し、ランドルフとアレンの4選手が主軸を務めて2011~17年にかけて7年連続でプレーオフへ進出。2012-13シーズンにフランチャイズ史上ベストタイの56勝26敗(勝率68.3%)をマークし、球団史上唯一のカンファレンス・ファイナル進出を飾った。
公称206㎝・113㎏のランドルフは、グリズリーズ在籍1年目の2009-10シーズンに平均20.8点、11.7リバウンドを記録してオールスターへ初選出。フィジカルの強さと横幅を活かしたポストプレー、ジャブステップなどで相手とのタイミングをずらして柔らかいタッチで繰り出すミッドレンジジャンパーをベースに得点を量産した。
“Z-Bo”の愛称で親しまれたビッグマンは、グリズリーズでレギュラーシーズン551試合に出場してキャリア平均16.8点、10.2リバウンド、2.0アシストを記録。9261得点と551試合出場、出場1万7928分、フィールドゴール成功数3731本はいずれも球団歴代3位、5612リバウンドは同2位、フリースロー成功数1736本で同5位と上位にランクしている。
そのランドルフは、番組内で自身がプレーしていた時と比較して「今のNBAではビッグマンたちが絶滅しようとしている気がする」と持論を展開していた。
「今だと6フィート7インチ(201㎝)、6フィート8インチ(203㎝)がビッグマンになっている。彼らのことはハイブリッド版だと呼んでいる。なかには6-8の選手が5人揃ってプレーしているチームもあるし、最長身でも6フィート9インチ(206㎝)だ。
しかも6フィート6インチ(198㎝)や6フィート7インチ(201㎝)、6フィート11インチ(211㎝)の選手がプレーを先導していているんだ。だから俺は彼らのことを混合型と呼んだのさ。今は本当にポジションレスになっていると思うね」
1980年代中盤以降、NBAではカール・マローン(元ユタ・ジャズほか)、チャールズ・バークレー(元フェニックス・サンズほか)といったPFが台頭。平均20点、10リバウンドを計算できるエース格となっていった。
その後もティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)やケビン・ガーネット(元ウルブズほか)を筆頭に、クリス・ウェバー(元サクラメント・キングスほか)やラシード・ウォーレス(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)といったPFたちが所属チームを牽引。
だがポジションレス化が進み、3ポイントの多用によって“ペース&スペース”が重視されたことで、PFに入るのはウイングのサイズで3ポイントを決めて当然のプレースタイルを持つ選手たちが増加していった。
「今じゃシュートできないといけないし、(小柄なガードであろうと)守れないといけない。しかも1番(ポイントガード)、2番(シューティングガード)、3番(スモールフォワード)、4番(パワーフォワード)もガードできなきゃいけないんだ」とランドルフは言う。
確かに、現役を代表するPFのヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は、センター並みのサイズ(211㎝・110㎏)ながら積極果敢なドライブからペイントエリアで無双する傍らプレーメーキングもこなし、ガードからビッグマンまで幅広く守れるディフェンス力が備わっている。
そのほか、インディアナ・ペイサーズのパスカル・シアカム、オーランド・マジックのパオロ・バンケロ、クリーブランド・キャバリアーズのエバン・モーブリー、ダラス・マーベリックスのアンソニー・デイビスといった現役有数のPFたちも、ペイントエリアに陣取るだけでなく、コート全体を見渡して動き回っている。
ランドルフからすれば、これまでのPFたちのプレースタイルが進化、あるいはガードやウイングの選手が大型化したと映るのかもしれない。
ただ、現代NBAにはデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチ、サンアントニオ・スパーズのヴィクター・ウェンバンヤマ、ニックスのカール・アンソニー・タウンズといったオールラウンドな能力を持つビッグマンたちが多数いるため、ポジションレスを受け、彼らのプレースタイルが従来のものから進化したと言えるだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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