見るからに「科学の先生」な白衣をまとって「空気砲」や「百人おどし」(大人数で手を繋ぎ、静電気が流れるのを試す)といった、子供が大はしゃぎしそうな実験を誰よりも嬉々として行う。そして餌食になった芸人やタレントの姿を見て、マッドサイエンティストのような笑顔で喜ぶ…。
あの「でんじろう先生」こと米村でんじろう氏が登場したのは、9月21日の「週刊さんまとマツコ」(TBS系)だった。
「生誕70年!進化を続ける実験怪獣~米村でんじろう列伝~」と題したこの回。さんまと同じ70歳というのも驚きだが、マツコ・デラックスが「確かにね、最近のYouTubeで上げてらっしゃる、でんじろう先生の実験、ちょっと度を越えてらっしゃいますよ」と苦言を呈するほど、最近のでんじろう先生はヤバイことになっているらしい。
3人の弟子を従えて出演したでんじろう先生の半生を振り返ると、中学生にして「爆破に目覚める」も「手首がブッ飛ぶかな、みたいな感じ」のケガをしたことを機に、爆破実験をやめる。
ところが高校時代には「原始技術」に興味を持つようになり、「石器時代の武器を自作していた」とのこと。
三浪の末に東京学芸大学に入学し、結果的に9年間在学。その理由を「社会人として働くのがちょっと怖くて」と明かした。このドロップアウト感。世が世なら過激派になって、テロでも起こしてそうな雰囲気だ。
その後、教えることには少しも興味がなかったのだが、理科の先生になり、生徒たちの目を引こうと、生徒指導の先生に睨まれながらも、授業で派手な実験を繰り返したのだそうだ。これが「でんじろう先生」誕生に繋がっていくのである。
こういうパッと見ヤバイ大人が、本気で好きなことをしている姿には、子供」ち(子供心を忘れない大人たちも)を引きつける魅力がある。そりゃ人気があるはずだ。
その昔、「わくわく動物ランド」や「どうぶつ奇想天外!」に出演し、爬虫類や両生類の生態を教えてくれた千石正一先生(2012年に62歳の若さで亡くなられたのが悔やまれる)や、幼少期から大好きな魚のことばかり考えて、しまいには東京海洋大学の客員教授にまでなっちゃったさかなクンなどと、同じ匂いがする。翻って、自分にそこまで没頭できる対象がないことに、ちょっとした悲しみを覚えるのだった。
こういうちょっと変わりものの先生が、次の世代の研究者や博士を生むのだ。そして、いつだって大好きなことを必死に追いかける者の姿は、輝いて見える。それは大人も子供も同じ。「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」でも、そんな原石(とはいえ、もはやその道のプロや博士も顔負けの子ばかり)を見るたびに、眩しくて仕方がない。
静電気をたっぷり蓄電したコップを嘗めて、あまりの衝撃に悶絶する吉村崇(平成ノブシコブシ)を満足気に見る、でんじろう先生。
ちなみに次週(9月28日)はさらにヤバイ、でんじろう先生のこぼれ話が連発される模様。こりゃ、必見だ。
(堀江南/テレビソムリエ)

