「パソコン1台で誰でも稼げる」「未経験から月20万円」――。今、こうした広告とともに急増しているのが、オンラインで動画編集を教えるスクールやコミュニティーだ。登録料は年間数千円から数万円。学んだ後の「YouTube案件を紹介します」というフレコミに、多くの初心者が飛びつく。しかしその内情は、期待とはほど遠い「労働力囲い込みモデル」だというのだ。
実際に入会した20代男性が、嘆息まじりに振り返る。
「在宅でできるし、副業として魅力的に感じました。受講すれば案件が回ってくると言われ、これならやっていけると思ったんです。ところが実際に紹介されたのは『30分動画で3000円』という案件。カット編集はもちろん、フルテロップ、効果音、サムネイルまで全てひとりで担当する、フルセットでした。1本仕上げるのに10時間以上かかることもあって…。時給にすると300円程度ですよ」
もはや「ブラック副業」と呼ばれても不思議ではない水準だ。さらに別の元受講者の女性は、コミュニティーの運営構造そのものに疑問を感じたと語る。
「入会したばかりの頃は熱心にサポートしてくれたんですが、気づけば新規の勧誘ばかりで、既存メンバーへのフォローはどんどん後回しになっていきました。案件はあるものの、量は限られていて、単価はずっと低いまま。『稼げる』という宣伝とは裏腹に、運営側は登録料で安定収益を得ているだけなんじゃないかと思えて。結局は消耗するだけでしたね」
動画編集という分野自体は拡大しており、需要があるのは確かだ。しかし、適正な単価で仕事を受けられる案件は少なく、スキルを磨いて実力をつけない限り、獲得は難しい。にもかかわず、「未経験でもすぐ稼げる」と夢を見させ、低単価の労働へと誘導する構造は、まさに「やりがい搾取」だと、元受講者の女性は憤るのだ。
「動画編集を学ぶこと自体には価値があります。でも『誰でも稼げる』という言葉だけは、鵜飲みにしない方がいい。相場や作業量を知らずに飛び込めば、時間もお金も失うだけ。結局、夢を見させられただけでした」
在宅で稼げる副業として、華々しく映る動画編集。その裏には低単価の現実と、初心者の労働意欲を吸い上げる仕組みが横たわっている。甘い言葉の影に潜むリスクをいま一度、確認する必要がある。

