
結成15周年を迎えたNMB48が、11月12日に32ndシングル「青春のデッドライン」をリリースした。キャプテンを務めていた小嶋花梨や4期生の川上千尋らが卒業することで世代交代も進み、ドラフト3期生の塩月希依音が新キャプテンに就任して“新たなNMB48”が一歩を踏み出した。その重要なシングルとなる本作について、新キャプテンでセンターを務める塩月、塩月と同じくドラ3の泉綾乃、初選抜の8期生・龍本弥生、4作連続選抜入りの9期生・芳賀礼に話を聞いた。
■新キャプテン・塩月希依音「みんなの手を借りながら」
――新キャプテンに就任した塩月さん、任期が1年間と決められた中で、キャプテンとしてどういうことをやっていきたいですか?
塩月:立候補した時に掲げていたのが「どんな時でも明るく、みんなで協力し合って作っていけるグループ。そして関わる方がみんな幸せになるようなグループを作りたい」ということでした。それが理想型なので、みんなで意見し合いながら作っていく。そして、目標の一つに掲げているのが大阪城ホールでのライブ。その規模のライブをしたいというのが、メンバーみんなの共通認識で目標でもあります。
これまでキャプテンをされていた山本彩さんと小嶋花梨さんは、一人でみんなのことを引っ張ってくださった印象が強いんですけど、私は一人で引っ張れるほどの力がないと思っているので、みんなの手を借りながら進んでいけるようなグループになったらいいなと思っています。一人一人がグループのことを考えることで、個人の成長にもつながってグループとしても大きくなっていけるんじゃないかと思っています。
――泉さんは塩月さんの同期として、キャプテンを支えつつグループを引っ張っていく一人になっていると思います。
泉:私はダンスが得意なので、やっぱりパフォーマンス面ではグループを引っ張っていけるんじゃないかなって自信があるので、後輩メンバーもそういう部分で引っ張っていきたいです。それこそ希依音もパフォーマンスがピカイチなので、協力し合って、支えたりしながら“城ホール”を目指して一つになっていけたらいいなと思います。

■8期・9期も意識に変化「目指してもらえるような存在に」
――8期・9期も次世代・新世代というよりも主力メンバーになっていますよね。
龍本:今、8・9・10期生だけの劇場公演もさせていただいてるんですけど、その中では8期生が一番上になりますし、今回の「青春のデッドライン」の選抜メンバーも、8期生が5人で一番多いんです。なので、今まで「次世代メンバー」と呼んでいただいていましたけど、これからは中核というか中堅メンバーとしてやっていけるくらい、パフォーマンスも普段の行動もより意識してやっていけたらと思っています。先輩の背中を見て追いかけてきたんですけど、憧れられたり目指してもらえるような存在になっていけるように頑張りたいです。
――龍本さんは今回初選抜ということで、気持ちも新たに、より前向きな感じになってるんじゃないかと。
龍本:気合いもめちゃくちゃ入っていますし、選抜はずっと目指していたので、今回のシングル活動期間にたくさんアピールして、NMB48に必要な人だと思ってもらえるくらい頑張りたいです。
――芳賀さんは4作連続で選抜入りということで、9期を引っ張っていく存在でもあり、グループの中でも欠かせないメンバーの一人という印象です。
芳賀:私なんてまだまだなんですけど、初めて選んでいただいた時は先輩についていくのに必死だったり、自分だけ劣っているというのを実感して、ただただ全力でやっていました。でも、今回4作目ですし、同期で初選抜のメンバーがいたり、後輩(10期)の選抜メンバーも増えたので、先輩の背中を追いかけるだけじゃダメだなと思っています。これまで経験してきたことを生かして、自分なりに背中をちょっとずつ見せていかないといけないんだなという意識の変化はありました。

■新曲「青春のデッドライン」は「全部の言葉が刺さる」(泉綾乃)
――新曲「青春のデッドライン」の印象を教えてください。
塩月:MVのダンスシーンを撮影したんですけど、パフォーマンスする時に私は歌詞と曲を分けて考えることにしました。歌詞と曲をそのままセットで聴いてくださる方に届けるというのももちろんすてきだなと思うんですが、今回の曲に関しては歌詞の部分は私たちメンバーが“言われた側”で、その言われたことに対しての答えを曲とパフォーマンスでお届けするみたいなイメージがあったんです。
――この曲の歌詞を読み込んで、塩月さんは分けて考えた方がいいと。
塩月:はい。「青春というのはいつまでも続くものじゃなくて、あっという間なんだよ」ということを歌った歌詞になっていて、私たちメンバーはその内容にハッとさせられて、「このままダラダラ過ごしていちゃいけない。限りある時間だから大切に、今の瞬間を一生懸命生きなきゃいけないんだ」ということを読み取って、曲とダンスに乗せて青春を全力で生きている姿を表現する。そういうイメージでパフォーマンスしている曲なので、これまでの楽曲みたいに曲と歌詞を一緒に届けるというのではないかなって。
――そういう意味でも、共感する部分の多い歌詞だと思います。
泉:もう共感する部分しかないですね(笑)。初めて曲を聴いて、歌詞を見た時、全部の言葉が刺さりました。8年間活動してきたんですけど、その活動してきた過去とも照らし合わせてみると「遠回りして気づかされるより諦めよう」とか「まだいっぱい時間はあるって学生気分抜けずにいた」という歌詞がありますけど、私自身時間がいっぱいあったけど“まぁ、いいや”って気持ちになっちゃっていた時もあったので、そういう気持ちを持っていた自分を思い出しました。そういう気持ちになっていた自分にすごく腹が立ったり、いろんな感情が湧き起こってくるんですけど、本当にリンクする部分が多いですね。

■「自分に問いかけているなと感じるところが多い」(芳賀礼)
――龍本さんは初選抜楽曲ということで、思い入れの深い曲になりそうですね。
龍本:はい。周りに取り残された主人公という内容の歌詞だと思うんですけど、私もアイドル活動の中で、周りメンバーの活躍だったり、人と比べてしまって落ち込むことがあって。それが、今回は初選抜というタイミングで“リンク”じゃないですけど、あの時の気持ちとかを思い出しながらパフォーマンスできるのは、すごく気持ちが込めやすいのかなって思いました。
タイトルは“デッドライン”ですけど、私は初選抜なので、希依音さんがさっき言われてた“反発”というか、「私はまだ始まったばかりなんだ!」という気持ちでパフォーマンスできるんじゃないかなと思っています。
――芳賀さんはどんなふうにこの曲を受け止めましたか?
芳賀:この曲はとにかく自分に問いかけているなと感じるところが多いんです。歌詞もクエスチョンマークで終わるところが多いですし、この曲の主人公を自分に置き換えて考えやすかったというのもありました。
ダンスに関しては、ダンスの先生が「普段のNMB48はそろえることを意識していると思うけど、この曲では感情の思うまま表現してほしい」とおっしゃっていたんです。でも、気持ちがストレートに書かれている歌詞だったので、ダンスも表現しやすかったです。歌詞の受け取り方もメンバーで違うと思うので、メンバーそれぞれの踊り方とか目線の使い方とかにも注目してもらいたいです。

■「未来図」は「これまでのNMB48にはなかったタイプ」(塩月希依音)
――カップリング曲も個性的な曲ばかりです。「未来図」は世代交代が進んでいる今のNMB48らしさが表れている曲かなと思いました。
塩月:本当にこの曲は良い曲なんです! 歌詞の内容も真っすぐで爽やかな曲で、どちらかというとこれまでのNMB48にはなかったタイプの曲だなって。でも、爽やかな雰囲気だったり透明感のある曲調とかが、今のNMB48と照らし合わせた時にすごく重なるなと思いました。
NMB48のこれまでのイメージは、なんか泥臭くて一生懸命でお笑いとかにも貪欲に頑張る、ガムシャラさとか熱さを感じるグループで、イメージカラーも“赤”というか、赤黒く情熱に燃えるグループって感じだったと思うんです。その良さは残しつつも、今のメンバーを見た時、透明感のある子がいたり、弥生ちゃんみたいな上品な雰囲気の子がいたり、どんどんメンバーと共にグループカラーも少しずつ変わりつつあるような気がしていて、今は“青”っぽいイメージが私の中にあるんです。それを象徴するような曲が「未来図」かなって。これが全体曲として全員で歌えるのもいいなと思いました。
泉:「青春のデッドライン」とは真逆の曲で、“未来”に向けて進んでいく感じが歌詞にも表れています。私たちは大阪城ホールでのライブを目指していたり、“大阪から世界へ”と掲げている思いはみんな共通で、それは消えることはありません。「遠いけど、時間がかかってもみんなで頑張っていこう」という感じの歌詞が、“NMB48の未来はまだまだ明るいぞ!”って気持ちになれる曲ですね。
――「未来図」がこれまでのNMB48になかったタイプの曲ということですが、「やねん」はNMB48しか歌えない曲ですね。
塩月:そうですよね(笑)。関西弁が詰め込まれていて、関西に住んでる私たちからすると“めっちゃ分かる!”という描写がいっぱい入っているんです。これが“関西以外の方に伝わるのかな?”と思ったりもするんですけど、ここまで関西に寄せている曲が歌えるのもNMB48だと思うので、聴いた方の反応が楽しみです。
芳賀:私はこの曲には参加してないんですけど、同期も参加しているし、気になっていた曲です。ラップが入っているのにまずびっくりしました。スタッフさんからは「おふざけユニットじゃないですけど、ちょっと関西らしさが入っています」というのを聞いていましたけど、ちょっとどころじゃなくて100%関西でした(笑)。何も考えず、気分を上げたい時に聞きたい曲ですね。

■「和風の曲調や気合の入った曲があるのもNMB48の強み」(龍本弥生)
――「上方ストロングスタイル」こそ、芳賀さんにお聞きした方がいいですよね? 新劇場公演「情熱!めっちゃ楽舞友」で初披露された曲ですが、いきなり神輿のように担がれて始まったのは驚きました。
芳賀:NMB48って昔からピラミッドを作ったり、担がれたり、奇抜な振り付けがあったんですけど、神輿をする曲はなかったので、初披露の時は「どういう反応してくれるんやろ?」って楽しみにしていました。案の定、ファンの方は目をまん丸にして口ポカンってびっくりされていて(笑)。でも、曲自体は“和”を基調としているアップテンポな曲なので、劇場公演とかライブでもファンの方と一緒に声を出して盛り上がれるといいなと思っています。
龍本:この曲、面白くてNMB48の得意分野の曲だなって思いました。「てっぺんとったんで」「俺らとは」など和風の曲調や気合の入った曲は、他にもそういった曲があるのもNMB48の強みだなと思います。かわいいだけじゃなくて面白いというのも私たちのアピールポイントなので(笑)。
――「Oneness」はもう一つの新劇場公演「青春!恋のDestination」で初披露された曲です。
泉:青原優花ちゃんのソロから始まるんですけど、そこで泣きそうになるくらい美しくてきれいな曲です。歌詞も、ファンの方との出会いとか、「一緒に大切にしていこう」とか感謝の気持ちを伝える内容になっているので、じっくり聞いてもらいたい曲ですね。
――さて、15周年を迎えてライブも行われましたが、今後の目標を聞かせてください。
塩月:今、変わっていくタイミングだと思っていて、そのタイミングに乗っかってじゃないですけど、いろんなことを試してみようという感じになっています。変わっていくタイミングについてきてくださるファンの方とか、寄り添ってついてきてくれるメンバーがいて成り立つものだと実感しているので、感謝の気持ちを忘れず、目標に向かって進んでいきたいと思っています。
◆取材・文=田中隆信


