理由もなく落ち込む、イライラする、やる気が出ない。そんな“心の不調”に気分転換や前向きな言葉を重ねても、効果は長続きしない。なぜなら心の状態は体調に強く左右されるからだ。では、どうすれば不安と無縁でいられるのか。
堀江貴文『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』より一部を抜粋、編集してお届けする。
「心の不調」は体調の問題だ
理由もなくイライラして考えがまとまらない。なぜか気持ちが塞いで気力が湧かない。なんだかネガティブ思考に陥って腰が重い。仕事も、人と会うのも億劫だ。
誰にでもあるそんな〝心の不調〞。そんなときあなたはどうするだろうか?前向きな言葉を自分にかける。部屋を整理したり、アロマを焚いたりしてリラックスする。あるいは音楽や映画で気分転換する──。
たしかにいくらか効果はあるかもしれない。気がまぎれるかもしれない。でも一時的なものだ。そのうち、ぶり返す。
なぜならそうした心の不調の大半は、心の問題ではないからだ。体の問題なのである。体が静かにSOSを発しているのだ。
だから小手先の気晴らしなんてムダだ。解決策は心でなく体のほうにある。ではその方法とは?
単純である。体が喜ぶ食事、適度な運動、十分な睡眠。その人間の3原則を確実に押さえることだ。体調を良好に保つうえで当たり前のことを当たり前にやる。それこそが最強のメンタルハックにほかならない。体調の乱れが心を蝕むのだ。心は体の支配下にある。
心の状態は、脳内で分泌される化学物質の濃度に左右される。特にセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の影響は大きい。セロトニンの分泌が増えると、気分が安定して幸福感が高まる。ドーパミンの分泌が増えると、気分が高揚して意欲が増す。
そしてそれら神経伝達物質の原料となるのが肉、魚、大豆などに含まれるアミノ酸だ。くわえて神経伝達物質の合成で重要な役割を持つのがビタミンやミネラルである。
つまり食は体をつくるだけでなく心もつくるのだ。サプリメントもいいが、三度の食事が大前提である。料理のほうがさまざまな栄養素を一気に得られるから効率的だ。そしてなにより食は最高の娯楽だ。楽しまない手はない。カップ麵やジャンクフードばかり食べていると、心も体も人生も貧しくなる。
心が不調のときに自問すること
そして運動も欠かせない。神経伝達物資の素になるのが食(アミノ酸、ビタミン、ミネラル)だとすれば、その分泌のスイッチを担うのが運動である。ウォーキングやジョギングなどのリズム運動はセロトニンを、やや強度のある運動はドーパミンの分泌をうながす。
ようするに、心は「食」と「運動」のコラボによって支えられているわけだ。さらにそのコラボの最適化を司るのが十分な睡眠である。その意味で睡眠はまさに生命線だろう。睡眠不足はあなたのあらゆる機能を低下させる。バイタリティを奪うのだ。十分な睡眠あってこその食と運動なのである。
僕も心が不調のときは「食べているか?」「運動しているか?」「寝ているか?」と自問する。心ではなく、体の声を聞く。食・運動・睡眠。それさえあれば無敵だ。
でもその3原則を軽視する人が多い。たぶん当たり前すぎてつまらないのだろう。SNSを開けば「#丁寧な暮らし」と称して、オーガニックな食卓やミニマルな部屋の様子を写した写真がひしめいている。それが健やかな生き方だと言いたいのだ。くだらない自慢である。そんな気取った生活なんて長続きしない。
それより地道に3原則を守ろう。シンプル・イズ・ベストだ。そうしていつでも自分の機嫌を自分で取れるようにしておく。それこそが本当の丁寧な暮らしだろう。

